こちらillust/87903144
のラストシーン直後からお話を繋がせていただきました。
ジェラルドillust/87858097
さんのダークな気配に、同じく闇を抱えた男が引き寄せられた様子・・・
メイヘムillust/87721142
のPTに、ジェラルドさんを勧誘させていただきました。
(承諾いただけるとのお返事を既にメッセージにていただいております)
※
「ぃよぅ、面白そうなことしてんじゃねぇか」
怯えるもう一人の冒険者にとどめを刺そうとしたジェラルドの背後から。
その男は、気配すら感じさせずに現れた。
「おや・・・あなたも私にご馳走を振舞ってくださるのですか」
咎め立てするならばお前も殺す。
穏やかならざる含意を潜ませた静かな声に、
たじろぐ風もなく飄々と、メイヘムは応じる。
「ああ。お近づきの印にな」
抜き手も見せずに投げ放たれた短刀が宙を飛び、肉を割き、骨を穿つ。
「俺の奢りだ。楽しんでくれよな」
逃げようと身を起こしかけた冒険者の額に深々と刃が突き立てられ、
声すらあげずに哀れな犠牲者は絶命した。
おそらくは暗殺の手管だろう。それも、相当な手練れの。
そのはずの男が、わざわざ自分の目の前で自分と同じ罪を犯した。
この死体は、ジェラルドが処理しなければ確実に衆目に触れる。
自らをあえて窮地に追い込んだこの男の真意はなんだ?
訝しむジェラルドに、見えてはいないと分かっていても
メイヘムは肩をすくめて見せた。
「ちょいとあんたの噂に興味を持ってな。
恨みつらみをたっぷり残した死体の魂が大好物なんだってな?」
さらなる深淵へとジェラルドを誘うように、
メイヘムの手が伸ばされる。
その手が濃紺の甲殻に包まれ、感じるものであれば
むせ返る程の濃密な怨嗟の気配を漂わせる。
それは、ジェラルドにとってはこの上ない甘露であった。
「俺なら、たっぷりと提供してやれるぜ。
ヘヴンに夢をかけて散っていく、
一流の冒険者たちの極上の魂をな・・・」
それは、抗い難い誘惑を含んだ言葉だった。
ジェラルドが指を鳴らすと、魂を奪われた死体たちは
地の底から湧き上がった闇の泥濘に絡め取られ、
音もなく姿を消した。
「ふむ・・・お話をお伺いしましょうか」
2021-02-22 14:20:01 +0000