見よ、夕日が沈むぞ、夕日が沈む。夕日は夕陽とも書く。夕陽の方が何となくかっこいいが画数が多いので夕陽よりも夕日の方をよく使うのが私だ。それはさておき、見よ、夕日が沈むぞ。いや、待て。夕日は本当に沈んでいるのだろうか。沈んでいるのは夕日だろうか。否、夕日は沈まない。ただ、夕日はそこにあるのみ。ただただそこに存在している。恐らく地球が存在するよりも遥か昔から夕日はそこにあるのだ。では、なぜ人は夕日が沈むなどと宣うのであろうか。一体何様だというのか。あまりにも烏滸がましくはなかろうか。そう思い、いてもたってもいられなくなった私が自らの身を墓に沈めたことは、最早誰もが承知のことだったのだ。(『今朝も昨日の夕日が昇る』より一部抜粋)
2021-02-21 07:02:16 +0000