西暦1981年2月8日、初代『ブルーインパルス』最終展示飛行。

W.M.R.

 約40年前の西暦1981年(昭和56年)2月8日。この日は、日曜日でした。

 この日、埼玉県の航空自衛隊入間基地に於いて、F-86F・セイバー戦闘機を使用する、航空自衛隊の戦技研究班『ブルーインパルス』(以下、初代『ブルーインパルス』と表記・統一します)が、初代としての最終展示飛行を実施しました。西暦1964年(昭和39年)の『東京五輪』、西暦1970年(昭和45年)の『大阪万博』など、昭和時代の大イベントに華を添えた、初代『ブルーインパルス』の展示飛行の実績は、約545回でした。その後、西暦1981年(昭和56年)3月31日を以って、初代『ブルーインパルス』は解散しました。
 初代『ブルーインパルス』の最終展示飛行に際しては、宮城県松島基地から、通常塗装のT-2練習機が飛来して、アクロバット飛行を披露しました。

 初代『ブルーインパルス』の最終展示飛行の前日の、西暦1981年(昭和56年)2月7日(土曜日)より放送が開始された、特撮番組『太陽戦隊サンバルカン』のオープニングにも、初代バルイーグル・大鷲龍介(第1話~第23話)のシーンに、初代『ブルーインパルス』の展示飛行のうち、5機デルタ(三角)編隊、ローリング・コンバット・ピッチ、ソロ・フライト(単機飛行)の映像が、使用されています。
 これを見た翌日、初代『ブルーインパルス』の最終展示飛行に於いて、全く同じ演目が実施された時は、当時の少年少女も、心を踊らせたと思われます(笑)。

 今回のイラストは、実は、一昨日・西暦2021年(令和3年)2月6日、宮城県松島基地・第4航空団第11飛行隊『ブルーインパルス』(現在)に宛てて送った絵手紙、いわば最新版が、原版になっています。
 投函する前に撮影した絵手紙の画像の一部を、トリミング加工してリサイズしました。
 西暦1981年(昭和56年)2月8日、入間基地に於いて、初代『ブルーインパルス』が、最終展示飛行を実施するのを、こちらも当時、本放送の最終回を3月17日に控えた、伝説の傑作アニメーション『ニルスの不思議な旅』のニルスが「お忍び」で、自分で選んだ私服姿で見学に来ていた、とイメージして頂ければ、何よりです。
 わたしは、今回のイラストの原版となった絵葉書を描いて、着色が完了した時に、初代『ブルーインパルス』の最終展示飛行の感動をイメージしながら、全身が炎のように熱くなると共に、危うく目の幅で大瀑布になりかかり、大声を上げて泣き出しかけたほどでした。

 今回のイラストのニルスは、例によって例のごとく、髪型と瞳の光が、アニメとはやや異なりますが、全体的にアニメそのままの姿を損ねないようにしました。特に、ニルスの笑顔は、卒業式によく見られる、瞳にきらりと光るものが宿りそうな、やや寂しげな笑顔でありながらも、
「今日、初代『ブルーインパルス』の最終展示飛行を見るのは、悲しくもあり、惜しい。けれども、光は、また次の世代に渡されて行く。F-86F・セイバーが引退しても、次代のT-2が照らしてくれるだろう」
 と、清々しい光が輝く目で見上げて、澄みきった心で、『世代交代』を感じているように表現しました。
 それは、例年この時期に、アニメ『プリキュアシリーズ』の最終回に於いて、次代にバトンタッチする際の、「光を手渡す、また次の世代へ」とも、同じ事です。
 ニルスが羽織っている、MA-1フライトジャケットの左肩に乗っている、ハムスターのキャロットは、慎重に、オリジナル通りに描きました。

 MA-1フライトジャケットは、西暦1981年(昭和56年)当時は、「米空軍フライトジャケット」と、雑誌の広告で紹介されていました。今回は、雑誌の広告に合わせて、青にしました。
 不自然にならない程度に、各部に皺も表現しました。

 各部分のパッチは、ネット通販などの画像を参考にしながら、アメリカ空軍式に正確な配置にしました。当時は、航空自衛隊のパッチは、市販品が多くはありませんでしたから、アメリカ空軍のパッチになりました。
 左胸のネームタグと、右肩のアメリカ空軍のパッチは、現在も、ネット通販で販売されているものを引用しました。ネームタグのウイングマークの上下の文字は、塗り分けがとても大変ですから、今回はこのようになりました。
 右胸の太平洋空軍のパッチは、現在は地の色が青ですが、西暦1980年代は地の色が水色でしたから、時代考証を正確にするべく、当時のものを再現しました。また、当時の太平洋空軍のパッチは、現在のものとは、微妙な差異と相違が、細部にありました。実際には文字は黄色ですが、今回はネームタグと同じ理由で、黒にしました。
 襟元のマフラーは、第2次世界大戦の時に日本軍の戦闘機乗りが使用していたものと同じです。無彩色ですが、シルク100%です。
 実は、このMA-1フライトジャケットは、前述の初代バルイーグル・大鷲龍介の初期の衣裳をイメージしました。

 ニルスのバックの、初春の蒼穹を飛ぶ、初代『ブルーインパルス』のF-86F・セイバー戦闘機は、ネットの画像を参考にしながら書き写しました。何となく不揃いになりましたのは、全面的にフリーハンドであるが故に、御了承願います。
 一見しますと、3機デルタ編隊に思われるでしょうが、本当は5機デルタ編隊の一部です。
 当初は、もっと引かせて、基本的な4機ダイヤモンド編隊や、5機デルタ編隊にしようかと思いましたが、様々な葛藤の結果、このようになりました。
 ニルスのバックに、見上げるギャラリーや、薄い雲も描いていれば、さらに臨場感は増した事でしょう。

 初代『ブルーインパルス』で使用されたF-86F・セイバー戦闘機で、解散後にアメリカに返還されたものの一部は、西海岸の航空ショーで飛んで、日本から訪米した航空ファンを喜ばせた、と当時の航空雑誌にありました。その後は標的機に改造されて、撃墜されたものもありますが、それではあまりにも勿体なさ過ぎます。
 気が向いた時には、初代『ブルーインパルス』からの返還機も、描きたいです。

 航空自衛隊に関係するイラストは、実に久しぶりになりますが、未だに終息の兆候さえも見えて来ない、新型コロナウィルスの影響により、今年・西暦2021年(令和3年)も、航空自衛隊の航空祭も含めて、日本国自衛隊のイベントは、全面的に中止になる可能性が大です。
 御覧になる皆様には、せめて気分だけでも味わって頂ければ、と思っています。

 例によって例のごとく、着色は殆どマジックを使用しています。着色の際には、「色ムラ」が出ないように、十分気を付けましたが、陰影が付かない分、あっさりとした印象になるかと思われます。
 何よりも原版が、『ブルーインパルス』(現在)に宛てて送った絵手紙ですから、なるべく明るい色にしました。

 今回のイラストも、出来る限り力を入れましたが、御覧になる皆様が、航空祭の気分を味わって頂けると共に、『ニルスの不思議な旅』を御覧になった方にも、まだ御覧になっていない方にも、最終回に特有の感動が伝わりましたら、幸いです。

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2021-02-08 03:00:01 +0000