一方、ルイーズはクロエ以上に深刻な危機を迎えていた。動きを封じられることはまだしも、武器も失っては彼女に対処する術はない。オークたちはその巨体を活かすように、ジリジリと四方からルイーズへの間合いを詰めていく。「さすがのお前も、動きを封じられ武器も使えんとなれば、もうどうしようもあるまい」突如訪れた好機に、ドルチは笑いが止まらなかった。先程まで近寄りがたいオーラを放っていたルイーズは、いまは大柄のオークたちに囲まれ、いつも以上にか細い身体が小さく映っている。なんとか活路見出そうと思案を巡らす彼女だが、その瞳は明らかに狼狽していた。
2021-01-11 15:16:46 +0000