僕はお父さんの形見であるサッカーボールを肌身離さず持っていた。いつでも一緒。このサッカーボールが僕に死んでいった家族が遺してくれたお宝。村から離れた所でサッカーしてた所を村が爆撃を受けて僕だけが生き残った。
村のみんなは何処にも居ない。僕だけ。独りぼっちになってしまったんだ。爆撃で跡形もなく消え去った。
お父さんとお母さんは死ぬ前に僕にこう言ったんだ。
「お前は絶対に生きてくれ。夢と希望を持って生きるんだ‼︎」
だけどもう話すことが出来ないんだ。
僕の8歳の誕生日にサッカーボールを買ってくれたんだ。このサッカーボールにはお父さんとお母さんの想いが沢山詰まってるんだ。独りぼっちになった僕は物騒な銃を持った大人達に連れて行かれた。そこで大人たちは僕にこう言った。
「生 き 残 り た く ば 殺 せ」
僕は生きていく為に覚えてない位の人数を殺した。
だけど夢があったんだ。殺しの任務が終わればサッカーボールが僕を待ってくれた。夜に死んでしまったお母さんが僕に語りかける。 「生きて。生きてサッカー選手になって。」
2021-01-03 15:08:58 +0000