ORGANO CITY Ⅲ-13 -1 “少年の心との対話”

五十五 望 いそい ぼう

 【ORGANO CITY (作者オリジナル小説)第三部・第十三話 少年の心との対話】イラスト1枚目:

精神科医ロイ・カーライルが、エドワードの10歳の人格と対話するうちに、意外なことが判明します。
それは、エドワードがゴードンと初めて出会ったのは、実は17年前だったということ。
つまりゴードンの結婚式に両親と参列していたエドワードをゴードンが見つけて抱き上げた時だったのです。

ゴードンはその当時は正式に “アルード殿下” と呼ばれる身分でした。
軍人としての最高位である大将の地位でしたから、その身分に合わせた盛装を身に着けています。斜めがけのゼィロビーク国旗と同じ色を使ったサシェは王族の証。
膝の少し上まである白いロングコートの腰には王太子だけが身に着ける赤いベルトを巻き、斜めのサシェの肩には勲章をつけ、腰にはヴィクトワール家の紋章をつけています。
もちろん傍らには花嫁がいるのですが……エドワードの記憶の中では「キンキラの怖いおばけ」なので、ここでは描いていません。
あ、そうそう。ゴードンは、まだ口髭を生やしていませんね。若いです。まだ20代後半ですから……

思いがけず抱き上げられたエドワードは、顔じゅう、耳を通り越してうなじまで、まるでユデダコのように真っ赤っ赤になってます。

本文より抜粋:

 「あのね、ロイ」
 「なんだい?」
 「内緒のお話。僕、その時、アルードおうじさまに抱っこしてもらったんだ」
 「抱っこ?」
 「うん。パパと見てたら、真っ白い服のおうじさまが僕のこと見つけたんだ」
 「王子様、どうしたの?」
 「かがんで来たの。それで、僕のわきの下に手を入れて、こう、高い高い、みたいにして、それから、腕に抱っこされた」

エドワードは、その時の “アルードおうじさま” の仕草を真似して見せた。
少し興奮しているのか、顔に赤みが射している。

小説の本文はこちらです。
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2020-12-28 14:28:18 +0000