仄飲成立記念絵とちょっとした小話の雰囲気漫画です!
◉お借りしました!
仄靡さん【illust/85798415】
◉自宅
飲【illust/86016084】
前半→【illust/86016084】
◉◉◉
「仄靡様、ご飯入りませんか?私料理も得意で…あら、あまり食べる種族ではないんですね?それなら卵焼き一切れどうですか?私の家の味なんですよ」
「ずっと浮いているので気づきにくかったのですが仄靡様は身長高いんですね〜。ずっと飛んでいるのは疲れませんか?あ、理由があるんですね!でもちゃんと疲れたら言ってくださいね、疲労回復の薬とかは私出せますので」
「妹がいるので人のお世話は大好きなんですよ!なのでこうやって人助けするの楽しくて…仄靡様によくかまってしまうのもそのせいですね!すみません」
「こっそりこっそり食事処に移動して…ふふ、今日も饍でいることにバレませんでした!」
「ン!?仄靡様今なんて言いました!?食事処…?な、なななな何のことでしょう???い、いや、あの、あああ〜はい…食事処は皆さんに英気を養ってもらいたくやっておりまして、昼は飲としてファンサをしているのでそのままの姿ですと食事だけをしたい方に迷惑をかける可能性がありまして…饍と偽名を名乗り姿を変え線引きをしているんです。
…え?ファンもみんな知ってる?確かにファンの子達もいるな〜とは思ってましたがそんなこと…………あるんですか?もしかして、気づいてなかったの私だけ?」
「…ずっと気になっていたんですが…その鱗の色は今どういう感じょ…あ、いえ!ごめんなさい!人の心にズカズカと足を踏み入れるような事をしてしまいました!今のは忘れてください!」
共に過ごすうちに彼を観察することが多くなり、それと共にどうして自分は彼のようにできないことが多いのだろうと劣等感も抱くようになった。
お互い羽があるのに彼は簡単に浮かべて、自分は滑空しかできず自力で飛ぶには細胞稼動による力が必要。
彼は簡単に傷を治せるのに自分は薬を作って時間をかけて内部から治していくことしかできない。即効性がない。
陽の光がない方が調子が良い彼が羨ましい。
そんな嫉妬心も生まれ、時々あんなに構っていたのに突然やめたり、劣等感や嫉妬心からくるイライラを彼にぶつけたりしてしまった。
その度に彼は傷ついたり落ち込んだり鱗の色もどんよりとした色になるものだから自分が子供っぽい事をしていると呆れてしまう。
「仄靡様…ごめんなさい。貴方のことを嫌いになったわけではないんです。私が未熟者でどうしてもできるできないを比べてしまって…」
「ないもの強請りもいけませんよね。まずは私にできることをできるようにしなければ!」
それからは飲はやる気に満ち溢れ今までよりも人助けや舞、食事処に力をいれた。
仄靡を蔑ろにすることもせず、むしろ彼に八つ当たりをしないように自分に自信をつけようと動いた。
そしてふと、この動力源が彼の為にであることに気づいた。
そんなに自分は仄靡のことを優先的に考えるようになっていたのかと自分に芽生えた感情に疑問を思い始めた頃、彼から告白を聞いたのだ。
自分の全てを独占したい、彼らしい告白だった。
「少し時間が欲しい」そう言ったものの、飲の心は決まっているようなものだった。
だって彼のためにと離れることを選択せず、一緒にいるために直すことを優先したのだから、つまりはそういうことなのだ。
「仄靡さ…仄靡!私決めましたよ!舞も食事処もぜーんぶ引退します!ファンレターも貰いません!ヤケではないですよ?仄靡とずっと一緒にいたいんです。私は愛は重いタイプなんですよ?こうと決めたら今までやってきたことをやめくるくらいなんてことはないんです。仄靡には見せられますしね?」
「ただ困っている人はやっぱり放っておけはしないので薬を配るくらいはいいですよね…?仄靡も傷を治して、二人で病院みたいなことをしましょう!」
「仄靡、私のお姫様!好き、大好きです!やっと気づけました!ちょっとはしゃぎすぎちゃいましたね、ここは王子様らしく愛していますとかっこよく決めるところですね」
◉◉◉
「わぁ、絵本を描いてたりしてたんですね!早く拝見したかったです。描くのは好きなんですか?…なんとなく…なるほどそういうこともありますよね!
内容は…王子様とお姫様のハッピーエンド!困難やすれ違いもありながら最後は二人幸せに暮らすんですよね」
「…ふふ、ねぇ仄靡、私たち、この絵本の王子様とお姫様みたいじゃないですか?」
初めは彼にだけにと送った指輪。
彼があまりにも大切にするものだから、自分も欲しくなった。
彼の左指には淡い緑の宝石、彼女の左指には昏い紫の宝石、二人の独占欲の一部である指輪が今日も輝いている。
この先どんな未来が待っていようとも彼女の心は折れることはない。
2020-12-27 04:53:12 +0000