「女ひとりに、なぜそこまで手こずるものかと思ったが……護身として覚えた程度の剣術ではないようだな」動きが鈍ってきたオークたちに業を煮やしたのか、バイタルがルイーズへと近づいてきた。ゆっくりと剣を抜きルイーズに向かって構えをとる。ルイーズがいま優先するべきことは、とにかくここから離れることである。バイタルと剣を交えるのは得策ではなかった。だが、バイタルはそれがわかっているかのように、逃げ道を封じる方角からルイーズとの距離を詰めていく。
2020-12-16 06:21:43 +0000