アスタロトが館へ入っていくのを見届けると、バイタルはゆっくりと後ろを振り向いた。「どうやら……鼠がいるようだな」そうつぶやくと、警備に連れていたオークたちに合図をする。オークたちも気配を察知したのか、挙動が騒がしくなっていった。「完全に気配を消していたつもりなのに……あの男……勘が鋭い……」建物の影には、ソフィとクロエと離れ、近くで様子をうかがうルイーズが隠れていた。決して気づかれないよう、安全な距離を保っていたはずだった。彼女は物音を立てないよう、ジッと息を潜めている。
2020-12-15 17:31:55 +0000