ミラが連れ去られる様子を、クロエとルイーズは遠くから見つめるしかなった。相手は奴隷商人とはいえ、今ふたりが身につけている短剣では、とても歯が立つ相手ではない。なにより施設が蛮国軍にマークされているなか、これ以上揉め事を起こすわけにはいかなかった。ふたりは無念そうに下を向き、身体を震わせている。「ミラ……ごめんなさい……。クロエ姉さん……私たちは…どうすることもできないの?」「帰ってソフィ姉さんに話しましょう……。これ以上は……もう我慢出来ないわ。こんなことを…これ以上を許すことはできない」絶望のなかふたりは帰路につく。
2020-11-30 19:28:38 +0000