黒き棺の行方【illust/85190055】に参加させて頂きます。
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ユーイン・バートレット
9歳 / 129cm / 女
一人称:僕 二人称:あなた / さん付け
バートレット家の妾の長子として誕生するが、
将来的に家督を継がせられるかもしれない、と考えた母親によって
男子として育てられた。
母親の違う姉がいるが、彼女からは自身の立場を脅かす存在として疎まれており
あまり仲は良くなかった。
生来身体が弱く、その生涯の殆どを家の中で過ごした。
読書を好み、書物から物語の世界に没頭することが唯一の楽しみだった。
中でも「常世の国」について記された本を殊更大切にしており
棺の中にも共に納められている。
死因:心臓疾患
常世の国へ行くことを強く望んでいたため、棺を開けられた事については
最初は動揺し悲しんでしまうかと思いますが、次第に状況を受け入れ
渡し守さんや外の世界への興味が勝るようになっていくかと思います。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 素敵なご縁を頂きました(12/7) ◆◇◆◇◆◇◆◇◆
フィガロさん【illust/85794022】(呼称:フィガロさん →フィガロくん)
痛みや苦しみから解放されれば常世の国へ行ける
ずっとそう信じてきました
棺が開いて僕の目に飛び込んできたのは、思い描いてきた常世の国の光景ではなくて
僕よりも少し年上くらいの、角の生えた男の子でした――
「え、あなたは…?ここは?僕は? 一体どうなって……」
「そんな、それってつまり僕は、二度と常世の国に行けなくなっちゃった…ってこと、ですか…?」
「僕はユーインといいます……、えっと、順番に答えますから、ちょっと待って下さい、ね」
「男の子…男の子同士…、あはは、はい、その…、よろしくお願いします」
渡し守の男の子、フィガロさんは棺を開けてしまったことを酷く後悔しているようでした
その様子はこっちが苦しくなってしまうくらいで、僕には彼を責めることは出来ませんでした
僕は確かに死んだようだし、この心臓も動いてはいません
この状態が一体どういうことなのかまったくわからなかったし、フィガロさんにもわからないようでした
わかるのは、僕はもう生き返ることは出来なくて、生まれた家との関係だってもう、無くて
それはつまり、男の子のふりをしなくても母様に怒られない、ということ
「僕の家族のことが知りたいんですか?僕には父様と、母様がいて……それから、母様の違う姉様も、いて……」
「ううん、大丈夫です。そんな顔をしないで、聞いてもらって僕も楽になれましたから、ありがとう……」
「今までどれくらいの棺を運んできたんですか?どんなふうに生活してきたのかな… 渡し守さんって、不思議がいっぱいですね!」
「あの、あのね、フィガロくん……僕は、実は」
(誰にも怒られないのなら、今まで誰にも話せなかったことを、話してもいいはず)
(けれどフィガロくんは年下の男の子の友達が出来たって喜んでいました、それを壊してしまうことには…ならないでしょうか…)
(それでも……フィガロくんだったら……きっと、)
「こんな格好してるけど、僕は、女の子…なんです……」
*
「あの、謝らないで下さい、僕の方こそ…嘘をついてしまって…、ごめんなさい」
「でも、これには理由があって…母様が僕を男の子として育てることに決めて…、だから父様ですら、僕が女の子だってことは知らないままだったんです」
フィガロくんは僕が女の子だと知って、ものすごくビックリしていました
母様以外で僕が女の子だと知っている、最初のひと…に、させてしまいました
それでもフィガロくんは変わらず、優しく接してくれました
今の僕の体は、生きていた頃のように少し運動しただけで苦しくなってしまうようなことはなくて、好きなように動き回れる外の世界は新鮮で、傍にはフィガロくんが居てくれて
ずっとこんな風に暮らしていけるのかな、そうだといいな、と感じ始めた頃でした
フィガロくんが豹変してしまったのは
「フィガロくん? どうしてそんなに怒って… なんで、僕何か悪いことをしちゃったんですか…?」
「違う、違います、嘘をつくつもりはなくて…! フィガロくん、どうして…」
(今のフィガロくんは、いつものフィガロくんとは違う存在なんだ
僕は一体どうしたらいいんだろう)
『二重人格』という存在のことを、本の中で知ったことがあります
けれど僕が読んだのは架空の物語で、本当にふたつの人格が存在するひとがいるなんて、知りませんでした
僕は一体どんなふうにフィガロくんに接していけばいいのでしょう
わからないことがいっぱいです
もう一人のフィガロくんはいつものフィガロくんとは表情も口調も全く別人で、この世の全てに怒りを抱いているような、そんな印象で……すごく怖くて
怒られるのは怖い、怖いけど、でも、それよりも知りたい
フィガロくんのことが知りたい
いつものフィガロくんのことも、今のフィガロくんのことも
「ねえ、どうか教えて欲しいのです」
「フィガロくんは生まれたときからそうだったのか、それとも何かがあって二人になったのか……」
「怒ってもいいです、どうせ僕はこれ以上死ねませんから、だから何があっても怖くなんて……ないですもん」
「僕はフィガロくんのことが知りたいです。僕の知らないたくさんの世界を見せてくれたフィガロくんのことが……だから、どうか…教えて欲しいです、今のあなたのことも」
「少しずつでも、いいから……」
*
フィガロくんには、いつもとは違うフィガロくんの存在が分かっていなかったようです
でも、フィガロくんは「昔からある」で終わらせてはダメだと言っていました
きちんと話してみるべきなのかもしれません
それも「あちらの」フィガロくんに相談してみましょう
どうしていくのが〈三人〉にとって一番いいのか、皆で考えていきたいです
僕にとっては、どちらも大切なフィガロくんだから
「フィガロくん、たくさんお話してくれてありがとう」
「きっとこれからも分からないことが沢山出てくると思うんですけど…、でも、何かあったらフィガロくんと一緒に考えていきたいって思うんです」
「これから先も、ずっとフィガロくんと一緒に居たいですから!」
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遅筆のため頻繁な交流は出来ないと思いますが
モブ・背景などでもご自由にお使い下さい。
問題点や不備などがありましたら、ご一報頂けますと幸いです。
キャプションは随時更新します。
2020-11-23 06:33:08 +0000