ORGANO CITY II - 28 “夜会”

五十五 望 いそい ぼう

【ORGANO CITY (作者オリジナル小説)第二部・第二十八話 夜会】イラスト:

救出から1週間が経っても、いまだに目覚めないエドワード。

とうとう、そのエドワードを相手にゴードンが “ダンスの練習” を重ねていた、夜会の日がやってきてしまいます。

形の上では招かれた立場ではありますが、自国に来訪された王族の、それも結婚の周年を祝う場ですから、相手をもてなさなければなりません。

ゴードンは疲労と心労を隠し、ヴォロダヴァ大公母アデレードをエスコートし、ダンスにのぞむのです。

ゴードンの姿に、凛とした美しさを描きたかったシーンです。

※この時代、1925~35年代の様式が流行しているという設定にしています。
もともとジュエリーはたいへん古いものであっても修理をすれば新品のように着用できるので、このイラストでアデレード大公母がつけているものは、まさにその1925~35年代に作製されたもの。
アデレード大公母は、お婆ちゃまになってもちゃんと流行を意識している、とてもおしゃれな方なのです。

※パリュールとは、本来、フルセットのことを言いますが、公式晩餐会ではないし、主役は大公夫妻なので、アデレードはピアスやブローチ、ブレスレットなどはつけず、ティアラとネックレスのセットのみを選んで着けているという設定です。

※ジュエリー(ティアラとネックレス)のデザインも作者オリジナルです。
一応、アールデコ風にデザインしてますが、本気のデザインじゃないので、細かいところは適当です。(本気デザインなら1ヵ月以上かかっちゃいますし……公開できません)

【本文からの抜粋】
※画像はR18ではありませんが、本文はR18です。

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しばらく踊っていると、アデレード大公母は扇子を持った左手を、ほんの少しずらす素振りを見せた。
さては腕を上げ続けるのがおつらいのかと、ゴードンが右肘で支えようとすると、さらに手がずれる。
そこに至り、ゴードンも、ようやく、相手が自分の上体を引き寄せようと……そして、何か言おうとしていることに気づいた。
慌てて、耳元を相手の顔に寄せる。踊り続けながら。
するとアデレード大公母は、少女のような微笑みを浮かべ、ゴードンの耳に囁いた。

 「あなた……相当にダンスがお上手ね」
 「恐れ入ります」
 「とてもエレガントだわ。それに……惚れ惚れするような美男子ぶり。まるで故大公が生き返ったよう」
 「とんでもない。私など、足元にもおよびません」

シャッセ……ナチュラルスピン、ターン。

 「でも……大きな苦しみを抱えていらっしゃるのね? そのお心に」

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2020-10-28 16:20:52 +0000