【古今妖怪録】油すまし

神田流風
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○油すまし(油ずまし)
熊本県天草地方の伝承に残る妖怪。
老婆が孫に「この辺では油瓶を下げた化け物が出たんだよ」と語ったら「今も出るぞ!」と現れたそうな。
柳田國男翁の『妖怪談義』に記され、その後、水木しげる御大の鬼太郎シリーズで知名度を得ました。
特に水木翁の絵の影響があまりに大きく、蓑をまとった老人の妖怪というイメージが広まっています。
元々は声だけの妖怪だったとか、油瓶が上から下がってくる、所謂、サガリ系の妖怪(馬の首などが頭上から下がってきて人を驚かす妖怪のこと)ではないか等々、その正体には謎が多い妖怪です。
あくまで個人的な見解ですが、天草の話を見る限り、元は話の最後に大声を出して驚かす怪談の類から生まれた妖怪だったのかもしれません。
ちなみに、水木御大の油すましの造形の元ネタは長らく謎とされ、京極夏彦先生をはじめ多くの妖怪馬鹿(褒め言葉)たちを悩ませてきましたが、近年、人形浄瑠璃に用いられる人形の頭部であったことがわかりました。

今回のイラストですが、ネットの知人たちとお絵かき掲示板で盛り上がった妖怪企画の時に描いた絵を描きなおしたものです。
この度の妖怪企画、妖怪馬鹿の私としましても、とても楽しく、同時に、懐かしいものとなりました。
企画者の方に改めて感謝申し上げます。
京極夏彦先生は「妖怪は平和のシンボル。平和な時分にしか妖怪ブームは流行らない」と仰っています。
いち早く平穏な日常が戻り、妖怪を楽しめる日々が来るよう、心より願ってやみません。

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2020-09-27 13:28:33 +0000