本編<師範>

ずる
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「伊黒様、なにとぞお引き受けしていただけませんでしょうか?」
「・・伊黒でいい。お前も十分実力はあるだろう。」
「いや、柱の実力を自慢したら見せてみろと言い争いになってしまって・・道場で言う事を聞いてくれないんだ」
「身から出た錆だ。自分で解決しろ」
「そこをなんとか!伊黒様!」
「昔から変わらないな・・清水よ。ダメなものはダメだ。」
「・・・オバさんのかっこいいところ見たいですわ」
「ですよね!恋柱様!元隊士もいますし、ぜひ技を披露して頂きたい」
「・・はあ、君が喜ぶなら道化でもなんでもなろう。ついでに街で買い物でもしよう」
「受けてくれるか?ありがとう伊黒!同期の絆は大事にしたいな!」
「・・俺はお前たちに殴られたのは忘れてないからな・・」

警察署の道場は街中より少し外れにあった。
「なんだ、不便なところだな。手早く済ませよう」
「そう言うなよ。地震で市内の道場は使えなくなってしまったんだ。」
近隣の警察が合同で使っており、かなりの大所帯で師範が連れてきた客人に視線があつまる。
「何人か元隊士もいるようだな。」
「ああ、あの時に集まれなかった連中が大半だよ。俺も待機はしていたが間に合わなかった」
清水は水一門で肩を並べていたが、早々に育手の道を進んでいたため最終決戦に参加していない。
「弟子は皆死んでしまったが、ここで同じように教えられるのは幸せものだよ俺は」「ただ、年が若いんでなかなか言うことを聞いてくれないがな。警官ってのは剣術だけではないしな」
この男は実力はあるが、少し甘い点がある・・そこは剣士に向かないなとは思っていた。

「師範!冗談が過ぎますぜ!」
嘲笑が見学者から漏れる。
「本気で打ちこんでも問題ない。」「伊黒様!手加減してくださいませ、こいつらは仕事があるんで」
「フムン・・サシなら真剣でもかまわないんだが・・まあ、明日は立てないぐらいで稽古をつけてやろう」

「師範・・さすがに・・」
胴着に着替えた蜜璃が柔軟体操で体をほぐす。
「背中をついたら負けということで。あ、申し訳ないですけど釣手を放したら負けってことで」
大柄の女とはいえ、屈強な男共の中では華奢に見える。それにこちらの胴着をつかむ腕も無いのでは。
「まあ、お嬢様の遊びにお付き合いさせていただきますよ、ははは」
そういった黒帯は宙を舞い、何度も背中を打ち付ける。周りはお遊びに付き合う黒帯を笑う。
「おいおい、しつこいぞ。そこまでにしとけよ・・どうした?青い顔をして?」
投げられ続けられる男は唇を噛み殺し震え声でつぶやく。
「クソッ・・空気投げだと・・」

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2020-09-27 00:23:35 +0000