タイちゃんギンちゃん・本店の厨房にて…。
「もぐもぐ………………」
「タイリクオオカミ、特製ラー油の味はどう?」
「かっ……からい……」
「何せ2号店のオリジナル商品だからね!スマトラトラが考案したんだって!」
「そうなんだ……あの子、やるなぁ……」
「あと、お裾分けしてもらった“花椒入りジャパリまん”もおいしいでしょ!ラー油との相性がいいよね!」
「うぅ……シビれる辛さだ……最も苦手かもしれない……」
「スマトラトラって面白くて優しい子だよね~、ボクのことを“カルちゃん”って呼んでくれるんだよ!」
「それは良かったじゃないか……カルちゃんか……」
「今度、スマトラトラとニホンオオカミで加帕里夜市の激辛巡りに行くんだけど、一緒にどう??」
「わ、私は遠慮しておくかな……というかニホンオオカミも行くんだ……」
「ニホンオオカミはああ見えて、辛いのは平気な子だよ!」
「彼女は平気なのか……それは意外すぎるな……」
「でね、ボク思ったんだけどさ~」
「なっ、何だい……??」
「辛いの平気なオオカミが多いよね!リカオンもそうだし、コヨーテもそうだし!」
「あのね……平気じゃないオオカミだっているよ……」
「ほら、タイリクオオカミも1~2ヶ月後には平気なオオカミになってるから!安心して!」
「それが可能であれば私も早くなりたいよ……平気なオオカミに……」
「あっ!このジャパリまん、まだまだあるから好きなだけ食べていいからね!」
「いや……私もう限界だね……また明日食べるよ」
「とにかく慣れることだよ!目指すは2号店のみんな!」
「日々の積み重ねだね……頑張らなければ……」
「あの……」
「おっ!ツンドラオオカミも食べてね!美味しいから!」
「平気じゃないオオカミ、ここにもいるわよ……」
「あっ、そうだったよね……ごめんごめん」
「ジャッカル……これ、私も食べなきゃダメ?」
「ほら、ツンドラオオカミにも辛いの好きになってもらいたいしさ……食べよう!」
「しょうがないわね……イチかバチか……もぐもぐ」
「どう?おいしいでしょ?」
「…………ぐすっ」
「えっ……?ツンドラオオカミ、泣いてる……??」
「そ……それくらい辛いのが苦手なのよ……ううっ……」
「だ、大丈夫だって!ツンドラオオカミも、そのうち平気なオオカミになれると思うから!」
「平気なオオカミね……私もなれるのかしら……体質上、無理な気もするけど……」
「じゃあバニラアイスでも食べて、口直ししよっか……」
「これはもう業務用アイスまるまる一個食べないと気が済まないわね……」
「ツンドラオオカミ、そんなに食べられるの?」
「いや、そんなには無理だけど……ちょっと見栄張っちゃったわね」
「そういうとこ、ツンドラオオカミらしくていいよね~」
「そういえば……素朴な疑問だけど」
「ん?」
「べる子さん含めたトラの子達って、みんな辛いの平気なのかしら……」
2020-09-02 21:01:14 +0000