【PRWS】第六話「再戦、黄金の復讐者」【アフター】

堕魅闇666世

「二度と現れるな・・・と、言ったはずだぞ」
「命令違反など、いまに始まったことでもないだろう」
殲滅し尽くされたBATAの残骸が辺り一面に散らばる月面に、
エグゼレイザーとレイザーマシン隊・・・
チーム・サザンクロスが再び対峙する。

「ならば」
エグゼレイザーを四足獣形態、キマイラへと
変形させ、パトリック・ブキャナンは淡々と言葉を返す。
「今度こそ、徹底的に叩き潰す」

あえて合体せず、三機に分離したまま戦闘形態をとる
レイザーマシン各機へ向けて、キマイラの三つの頭部が
同時に砲撃を放つ。
ファルコンを狙う右の飛竜の首からは電撃を。
オルカを狙う左の水竜の首からは冷気を。
レオを狙う中央の狼の首からは爆炎を。

迫る脅威から目を逸らすことなく、
トウヤは、ミセリコルデは、クーリアは叫ぶ。
「「「サザンクロス・フォーメーション!!!」」」
砲撃を交わして飛翔した三機のレイザーマシンは、
高速機動形態へ変形、エグゼレイザーの周囲を取り囲んで
等間隔で高速旋回する。

キマイラを中心として輝く南十字星の如く、
身を躱す挙動にすら追従して、ぴったりと張り付く完璧な編隊機動。
「なるほど、少しは考えを改めたようだな」

水竜形態、べへモスへと変形し、包囲を振り切る挙動に
転じたタイミングを逃さず、三機のレイザーマシンが集結する。
「レイザーコネクト。フォーム・エニグマ」
背後を捉えたエニグマが、べへモスを追い回して
持てる火力を矢継ぎ早に投射する。

「アリスから、あなたのことは聞かせてもらった」
救助に現れたレギンレイヴンのパイロット、ライナス・ジジェク
・・・今は記憶を失い、ダミアンと名乗る少年は、
トウヤの親友であると同時に、サザンレイザーの開発者、
ヘルマン・ジジェクの息子であった。

ヘルマンの共同研究者であるアリスは、サザンレイザーの
開発協力者であるブキャナンが背負う過去を知っていた。
「あなたが、かつてBATAに滅ぼされた文明の、生き残りであると」
BATAに全てを奪われ、その脅威を思い知らされながら、
なお復讐を誓い戦う、孤独な男の物語を。

「詮索するのは勝手だが。貴様らには、もはや関係のない話だ」
迫る対艦魚雷を、瞬間的にクロノスへ変形したエグゼレイザーが
ウィングから引き抜いた2挺のライフルで迎撃する。
さらに、急減速によって目前に迫ったエニグマ目掛け、
鉤爪を立てた右足での蹴撃を放つ。

「・・・レイザーイジェクト」
ギリギリのタイミングで、サザンレイザーは
三機のレイザーマシンへと分離、回避と同時に交差し、
「レイザーコネクト、フォーム・グリフォン!」
クロノスの背後でグリフォンへと合体した。

「・・・ちぃッ・・・!」
体重を乗せたキックの体勢のままのクロノス目掛け、
最速で放たれるスパイラルエーテルランスの一撃を、
身を捩り、抜き放ったエーテルカトラスで際どく受け流す。

「仇を討つのでしょう?BATAと戦い、倒れた奥方の!!」
衝撃を殺しきれず、吹き飛ばされたクロノス目掛け、
シールドからエーテル誘導弾を斉射し、追い込みをかける。
「我々は、貴方の力になりたい!
そのために必要な実力は、身につけてきたつもりだ!」

身を翻し、ファヴニルに転じたエグゼレイザーが
曲芸めいた高速機動で誘導弾を掻い潜り、突撃を図る
グリフォンへ急迫する。
「BATAを侮るな!貴様ら如き、
このまま戦ったところで犬死が関の山だ!!」
叫ぶと同時に、雷のブレスを放射。
至近で放たれた一撃を、グリフォンが盾に受けた隙を突いて、
牙を剥き出したファヴニルがその喉笛に食らいつく。

「ッ・・・レイザーイジェクト!」
変形によって格納した頭部を掠めた牙が散らした火花を残し、
分解離脱したレイザーマシンがファヴニルの脇をすり抜ける。
「トウヤ、お前が決めろ!」「決定的な、火力が必要」
「任せろッ!!・・レイザァァーーコネクトッッ!
フォーム!オルトスッッッ!!」

オルトスへと合体したサザンレイザーと、
クロノスへと変形したエグゼレイザーが、
全開全速で真っ向から激突する。
「その石頭、叩き割ってやるよ!!」
「よくぞ吠えた。・・やってみろ!!」

全体重を乗せた正拳と掌底が正面衝突、
巻き起こる衝撃波が周囲に波紋を広げる。
「百烈鉄拳ッ!」
「連環掌打ッ!」
そのまま、乱打戦に突入する。
繰り出される無数の打撃がぶつかり合い、
衝撃と火花が周囲に吹き荒れる。

「助けてやるって言ってんだ!大人しく頼っとけ!!」
「わざわざ死にに行きたいとは、とんだ酔狂だな!!」
実力伯仲、両雄一歩も譲らず、無数の激突を
重ねた拳と掌が、熱を帯びて真っ赤に燃え上がる。

「やってみなけりゃァ!」
不意に、オルトスの拳打が止む。
繰り出されるクロノスの掌打が強かに顔面を捉えるが。
「わかんねェだろうがッッッ!!」
意に介さず。
ゼロ距離へ踏み込んだオルトスの、会心の膝蹴りが
クロノスの腹を捉え、地表面目掛けて吹き飛ばす。

月面の大地へ激突する寸前、その機体を、
オルトスが放ったホイールクラッカーの電磁ワイヤーが絡めとる。

「歯ァ食い縛れェ!!」

全速で電磁ワイヤーを引き戻し、
腕部タイヤをトップギアに、
脚部スラスターを瞬間的に最大噴射、
レイザーサーフィスを全力で蹴り付け、
肘部ニトロブースターを限界出力に。

「拳・骨・爆・砕!!」

全ての加速を、この一撃に。

「ヴォォォォォォルケインッッ!!マグナァァァムッッッ!!!」

爆裂する鉄拳が、クロノスの顔面を直撃する。
大地を揺るがす轟音と共に、吹き飛ばされたクロノスが月面に激突し、
隕石が直撃したかのような巨大なクレーターが穿たれる。

クレーターの中央、倒れ伏したクロノスに、
側に降り立ったオルトスが手を差し伸べる。
「・・・フン、確かに、使ってやる価値はありそうだ」
遠く輝く地球の蒼を背景に、
二機のスーパーロボットの掌が硬く結ばれる。
「ああ。・・・強いぜ、今の俺たちは!!」

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2020-08-19 16:46:14 +0000