ヴァストラード級大型防空巡空艦

静秋
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 蒼衣わっふる氏(user/1396415)原作のシェアワールド創作群、「ラスティフロント(https://w.atwiki.jp/flightglide/)」に登場する国家:クランダルト帝国空軍のメカをデザインしてみました。
本級は618年に発生したリューリア艦隊戦の戦訓を元に建造されたポスト・リューリア型巡空艦の第一世代に当たり、以前投稿したストラティア級防空巡空艦の間接的な後継となります。
帝国は軽巡に分類していますが、連邦側からはその重装甲と砲火力から重巡もしくは中巡とされています。

以下妄想↓
616年、帝国軍艦政本部ではとある問題が発生していました。
それは帝国軍の大火力ドクトリンに基づき、恐竜的大型化を続け、旧式の第二紀世代艦以外が戦艦モドキ(大型重巡)だらけになりつつあった重巡部隊と、火力偏重で汎用性に難のあったガリアグル級(初期型)、逆に対軽巡までなら無類の強さを誇るものの主力艦には到底太刀打ちできないストラティア級(ごく少数)、旧式のガーランド級の軽巡軍団という
所謂「帯に短したすきに長し」の状態を打開するというもの。

 そこで計画されたのが:次期汎用巡空艦計画です。
敵主力艦に対抗可能な火力性能と年々被害を増す連邦の小型艦攻撃に対する防御砲火能力、さらには旗艦能力まで付与しようというかなり欲張りな物でした。
 機能が充実する反面、船体設計はかなり保守的でグレーヒェン工廠の傑作旗艦級戦艦:グレーヒェンを発展させた物となっていました。

さて、いよいよ建造が始まりキールが船台に据えられた矢先、リューリア艦隊戦が勃発します。
戦い自体は帝国軍の勝利で終わったものの帝国軍は遠距離砲戦能力、航空戦能力、遠距離索敵能力の欠如という形で欠点が露呈しました。

そこで計画には大幅に手が加えられることになり、ポスト・リューリア型への道が始まったのでした。

 まず行われたのが水平防御の強化でした。最上部の曲面甲板の増圧に加え、船体内部の平面装甲も増圧された。さらに応力外皮的構造ではなく複数の装甲隔壁と無数の支柱が甲板を支えます。
舷側装甲も同様に二重装甲状になっており、特に舷側装甲格納庫の内側は艦橋基部と言うこともあり特に分厚かった。艦載機を犠牲にしても艦を守り抜く体制です。

 建造はブロック工法が採用され、艦内隔壁はより詳細に区画分けされていました。ブロック工法にはもう一つの利点もあり、損傷部位の交換や、将来的な武装の換装も可能となっており、将来的に砲填火力が陳腐化した場合もその巨大な船体に適した武装を配備出来るようになっているようです。

 無数の副砲が置かれるはずだった場所は前級ストラティア級防空巡空艦から引き継がれた30mm高射機関砲に変更されました。これは同じくストラティア級から引き継がれた137mm連装高角砲が自動装填式であり優れた手数を持っていたために可能となったものでした。

 主砲には長砲身の180mm三連装砲を採用。この砲は先の137mmの装填機構を一部採用し、分間5.5発を達成していました。短砲身大口径榴弾砲を主力としていた帝国の量産艦としてはクライプティア以来の長砲身艦艇で、これは全体的に遠距離戦が増えていたことと、連邦空雷戦隊の近接雷撃を警戒するための遠距離交戦能力確保でした。仰角は73度までとることができ理論上対空戦も可能となっていました。

 遠距離戦をするにあたり索敵能力の強化が図られました。それまで光学照準や観測機に頼っていた射撃管制は無数の探知機によって代用が可能になります。加えて、装甲裏にゴム皮膜を張ったことで限定的ではあるものの対電磁性(生体機関は電磁気が嫌い)を獲得し、帝国艦初の電探装備を持っていました。とはいえその技術レベルはいまだ発展途上であり、可能な限り有視界戦闘を求められました。しかし、それまで生体探知機や砲射程において常に先手を許してきた連邦に対しはじめて時間的優位を得る事が可能になったと言えるでしょう。

 そして駆逐艦隊の旗艦を務められるように推進式放熱器官を搭載し速力の増加(巡航162㎞/h、戦闘時173km/h以上*個体差あり)を図りました。これにより巡空艦としては極めて高速な艦艇となります。しかし、巨大な船体の高速化は安定性の欠如も招きます。多様な兵装を詰め込んだ結果巨大化した船体を少しでも縮める必要が生じたのです。そのため後部生体機関は艦橋と一体化したMACK構造を採用しました。
 巨体を高速で動かすことは安定性の欠如を招くため、艦の安定性を高めるために皮膜式フィンスタビライザーや安定翼を兼ねた煙幕放出孔を開発。皮膜式フィンスタビライザーは後の可変翼戦闘機に連なる技術でした。

 旧設計の名残として生体腕木通信機や小孔インテークの形状がありましたが、就役直後に大型インテークの変更、索敵・通信マストに変更(二番艦は就役時)がなされることとなりました。更に対空兵装の配置見直し、50mm連装高射機関砲の搭載などの変更も加わり、建造段階では三番艦からの設計変更となり、その後四番艦の就役に合わせて一番、二番艦は改装に入りました。
更に、3番、5番、7番艦では後部大型搬入口や複数の機関砲を撤去し第四主砲塔を搭載する砲撃型への設計変更が行われ、共通装備でありながら就役時からバリエーションは豊富でした。

 これら設計変更と新機軸を多数搭載したことにより、凡庸な艦影(連邦はグレーヒェン級と誤認した)に反し艦の建造は遅れ建造再開から実に2年の歳月を要しました。
さらに、期待に期待された進空式にもトラブルはついて回ります。
なんと621年15月30日に決行された帝作戦の翌日が予定されていたのです。
もちろん、新型艦の存在は両陣営を刺激し、ドック周辺では激しい銃撃戦が勃発。
そして決行当日、帝都内のドックで艤装を済ませていたヴァストラードは密かに出航準備をおこない、宰相派との激しい船渠内銃撃戦を制し、皇女派士官と工廠技術者達によって燃えさかる帝都の空へと舞い上がったのでした。

 走攻守において対巡空艦戦闘に優れ、帝国空中艦の一つのピークになったヴァストラード級大型防空巡空艦は、砲填型巡空艦最後の世代として戦場を駆け回り、噴進弾の最初の世代としても改装されそのプラットフォームになりました。
同型艦は10隻は欲しいなぁ、と。

武装詳細
180mm長砲身三連装砲3基
137mm連装高角砲11基もしくは12基(艦底部含む)
30mm三連装高射機関砲6基
20mm連装機関砲19基
艦載機4機

※イメージはソ連のスヴェルドルフ級、その計画案の1つ68bis-ZIFにアメリカ艦並の対空艤装を載せたもの。

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2020-08-04 13:41:14 +0000