もうやめて
怒りを人間達にぶつけても あなたの憎しみが薄れることはありません
むしろ新たな憎悪が増え 気が果てるまで大地を焼き尽くしてしまいます
憎しみは何もうみません
今あなたがすべきは 亡き同胞の命の分まで 精一杯生きることではないのですか
生命の誕生から ずっとこの星を見護りつづけていた あの優しいあなたは
異の空よりここへ来たわたし達を 同じく生きる命として海へ迎え入れてくれた慈悲深いあなたは
もういないのですか
『…………………
…………………
…………………』
…忘れないで
あなたに刻まれた傷は わたしが必ず治してみせる
あなたが 母にそうしてくれたように。
《東京に再び出現したゴジラに対し、同じく出現した羽虫のような怪獣。
しかし羽虫の怪獣はゴジラへ攻撃するそぶりも見せず、10分以上浮遊しながら何かを語りかけるかのように見つめ、やがて踵を返しどこかへ飛び去ってしまった。
その間、ゴジラも何故か暴れるのをやめ、目の前を飛ぶ怪獣を静かに見つめ、それがいなくなると先程までの怒りも鎮まった様子で、呆然と立ち尽くす生き残った我々を尻目に、静かに海へ還っていった。
人間を見つければ即座に殺しにかかろうとするゴジラがだ。
2020-07-25 16:38:50 +0000