「どんな命でも、生きられるなら生きたいだろう」

程淮

 「ザフトの警備兵」という、まるであてにならない存在……赤服とはいえ素手の相手2人にのされてしまうのはいかがなものか。

 なにげにシンとネオが直接顔を合わせて話すのはこれが最初(で多分最後)であり、シンの剣幕に彼も何か感ずるようなところはあったようなのでこれがジブリールの呪縛から逃れるきっかけになったりするのかな……と思ったけど別にそんなことはなかった。
 そしてシンの願いに対する「約束するよ(イケボ」という言葉もあっさりと覆されてしまうのである……といってもネオの立場を考えたらそもそも軍の"所有物"であるステラの処遇を「敵兵が頼んできたから自由にしてやってください」なんて言えるはずもないわけで、シンの願いというのは口にするのはともかく土台叶いうるものではないよなぁ……とか。

 そもそもシンのやったことは心情的な問題や彼の性格、メタ的な「主人公の行動」として考えればまあやるだろうな……というものではある(キラもラクスを勝手に返還してるし)んだけど、軍人としては即銃殺刑でもおかしくないくらいやべーわけで。
 「今まさに生命の危機に瀕しており、生きながらえても実験動物として扱われようとしている」状態のステラを何とか助けようという考え自体は人道的に正しいと言えるけど、彼がその行動に至ったのはおそらくそれが「ステラだったから」という部分が大きいわけで、良くも悪くも彼らしい私情に突き動かされた結果であるのも事実であり。
 そして結果論ではあるけどそんな彼の行動がのちに比べ物にならないくらいの命を奪うことになるわけで、それが彼の成長を促す大事なファクターになるのか……とも思ったけどやっぱりそんなことはなかった。

 こうして見ていると、種運命は物語上のお約束とかカタルシス的なものを全力でぶん投げてるよなーと思ったりもする。 当時もそういうのを繰り返していくうちに観るのがしんどくなっていた気がしないでもないけどそれは自分自身が精神的にしんどかったせいかもしれない。
 まあ、オマージュ元であるZガンダムもそこらへんは似たようなものであった気もするのである意味では忠実……なのか?

 あとシンの名?台詞である「あんま強くないよね、あの人」が出るのもこの回である。
 彼の増長語録の代表格ではあるけど、この時の発言は後のアスランとのやり取りも含めて考えると増長というよりは彼の情けなさに対する失望と苛立ちがメインであったようにも。
 彼が本格的に増長するのは、この後の出来事が大きい(多分)わけで……

#Gundam SEED Destiny#Shinn Asuka#Stellar Loussier#ネオ・ロアノーク#Shinn/Stella

2020-05-14 18:24:51 +0000