さようなら 愛する人よ
心恋うは うらこう と読み、心の中で密かに恋い慕うことを意味するらしいです。
心の中で芽生えた淡い恋、胸の奥が苦しくなるような切ない恋。
走馬灯がよぎる、という言い回しがある。
シドが死に絶望し孤島の崖から身を投げる瞬間、セリスの心には何が映っただろう。
人工魔導戦士として多くの命を奪う戦いに身を投じた将軍時代か、
育ての親が見せてくれた大好きだった自分の名を冠する薔薇か、
想い人への届かぬ愛を歌ったオペラか、
それとも 蟠りを解く言葉を交わせぬまま離れ離れになってしまった彼の顔か。
花は散っても、種がまた芽吹き 美しく咲くことが出来る。
命を奪う側にいた彼女がそれを体現していく。
生きると決めた彼女が抱いている感情は きっかけをくれた彼への愛、だけではないのだろうな。
2020-05-02 15:08:01 +0000