パースは後悔した。
この草原に入る前感じ取った殺気は、気のせいではなかったのだ。
草を踏むザッザッという音が次第に近づいてくる。
しかし獣の唸り声、それどころか呼吸音すらしない。
近づいてくるこいつらは、狩りに緊張していないようだ。
遂に追手の姿が見えた。砂色の皮膚、鮮やかな冠羽。
一切の音を立てず、じわじわと近寄ってくる。
そっと近寄り、そして、一番近づいてきていた個体が、羽根を震わせた。
すると二人を囲む群れは一斉に足を止めた。
二人を囲むのは八匹、隙間もあるが、どうも逃げられそうにない。
パースの鋭い感覚は、遠くから援軍が来ているのを感じ取っていた。
ぴたりと動きを止める八匹と二人。緊張が走る。
逃げる糸口は・・・
こいつらはきっと何かの指示を待っている。忠実に。
二人の周りを囲む八匹は群れのリーダーに忠実な連中らしい。
しかし、外側にいくほどに、集中力のないやつらが配置されているようだ。
ずっと遠くから、騒々しい鳴き声が聞こえる。
そしてそのもっと向こう側には・・・・
パースは勝機を伺った。あとは運、少しの運があれば脱出できる・・・。
2020-04-12 01:13:11 +0000