それは、大穴に突然現れた。
飛来してきたのでも、大穴から這い上がってきたのでもない。
ぐろろ…と低く響く地響きの出どころに目を向けて初めて気づいた。
巨大な竜が、翼を広げて大穴に影を落としている。
氷壁の魔物が現れたというだけでも十分パニック状態の大穴の中で、その影に人は絶望したろうか。
「なんだよあれ、あんなのが飛んだら、風圧で死ぬぞ!」
どこかの兵が指差す先に、何十メテラと下りている場から見ても尚、大きく見える竜の影に、その場の者たちは散り散りに影から抜け出そうと走り出す。
しかし竜は羽ばたき一つせず、ただ翼を大きくのばし、影を広げようとしているようだった。
「こっちです!影の下を通って上に。早くして下さい。ちんたらされたらこっちが困るんです!」
「なに言って、アレが動いたら、その瓦礫だけで大惨事だ!」
「動きません!社員と顧客を回収するまでは動けない!」
「は!? あれが、商人の持ち物だってのか」
「上司です」
短く返された言葉の意味を飲み込みきれない男の尻を、早くいけと蹴っ飛ばす。
「ま、生きて戻ったら竜易船団(illust/78999283)で買い物して下さい」
竜は、変貌し、空を飛ぶ魔物を見上げていた。
大きな1つ目が、突如現れた竜を見据えている。
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アザラク・ファフニール(竜のすがた)>illust/79311854
わーい!社長が大穴にやってきたよ~!
大穴に居る社員と顧客の安否確認に参りました。
竜の姿で(大きいねぇ 5サタディアあるんだって)
1サタディア=185.2m
うっかりこの竜を攻撃してもいいけど、後でお礼参りに伺いますので名前と所属を教えて下さいね。
皆様の活躍を応援する、竜易船団の社長です。
竜体を足場に空のモンスターと戦ってもいいし、竜体の下は安全というていで人命救助をしてもいいですね。
大きな体はとてもお腹がすくので、周囲のモンスターを食べながら、社員たちの安否確認完了を待っているかんじです(˘ω˘)<帰ったらご飯いっぱい食べるんだ…。
後半戦もよろしくお願いいたします。
※エリアタグは、サイコロで決まります
2020-03-24 09:33:06 +0000