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「ウチの商品と組員に手ェ出して覚悟あんだろうなレフコー!あ"ァ"!?」
「アーハハハ!ラック!やっぱりいたなぁ!」
「ソニアライン!こっち!早く!!」
「商会長!アンタはどうすんだい!」
「ま、また犬がきてる…!」
「皆さま、ここは私とフラム様でしのぎます。商品はまだ無事でしょう。先に拠点に届ける事が優先されます。」
「いやーそれにしたって人使い荒いんじゃあないですかねぇ」
「銀骨」を使用したアーマーリングで触れたシャムシールは、たしかに亡霊へも有効だった。
不確定な存在に刃が通るのはこれが星光石の力からなる怨念からかそれとも銀骨の影響故が、検証をする暇はない。
「フラぁム!テメェにゃ自由時間好きにやらせてるんだ!愚痴言わず働け!」
「…へっ、ハーイハイ」
ダメージの見えないレフコーの上半身をそのまま袈裟斬りにしようとしながらブラックラックは後ろで幽霊犬と対峙するフラムに激を飛ばした。正直なところ、奴が裏でこそこそやってる仔細はあえて知らないようにしてるのだが、その分こんな時くらい命令をきかせても構うまい。
「周りに気を配る余裕があるのか流石だなぁ!」
「ッヴ!」
レフコーの右腕がブラックラックの腹部に「刺さった」
そのままバチンと強い衝撃音がする。星光石での魔法を使われたのだ。叫び声がなかったのは元盗賊の意地だろうか。次いでレフコーは「増加」させた銀骨の刃をその右肩に突き刺した。血はなく、傷は残らず、けれど半幽の身には「痛み」だけはたしかに響く。
「てっっめぇ……!!」
「商会長!」
「てめぇらいいから先に行け!!こいつの相手はオレ様だ!物資運搬絶対優先!!命も儲けも一つも取りこぼすな!!」
怒鳴るように吠えると組合員たちはバタバタとまだ無事な商品を予備で搭載した収納アクセサリーに仕舞い込み先行くチームのもとへと駆けて行った。周囲の犬はフレアとフラムが相手をしている。ブラックラックのやることは、この亡霊をなんとか長い時間自分の元へ縛り付けておくことだった。
間違っても囮以外の班に引き合わせては行けない。そのためにこんなわかりやすく自分の居場所を教えていたのだから。
「商会長、しょーかいちょーね」
カタカタと笑う音がした。牽制し合う幽体二つはお互いの体を貫かれながら動けずにいる。笑うレフコーの顔に一瞬、奪われた銀骨が透けて見えた。この亡霊は、いま星光石だけではなく銀の頭蓋骨も取り込んでいるのか。
また、臓腑に衝撃波が響く。ブラックラックはたまらず胃液を吐いた。
「くだらねぇ。くだらねぇよラック。お前が商人なんぞに身を落とすなんて。」
「ア……ッ!」
「お前は俺たちの盗賊王だ。ヨアラシは永遠と言ったのはお前じゃないか。忘れたのか?」
「レフ…てめ……」
「死して尚俺たちは永遠だ!ナムカもミギリオもノーグスもみんな、みんな俺の中にいる!みんなお前を待っている!さぁ!!ラック!俺の相棒よ共に行こう!そしてまたあの日のように夜を駆けよう!!」
ブラックラックの中にかつての仲間たちの怨嗟の声が響いた。名を呼ばれ、そちら側に引っ張られる。骸骨が笑う。まるで悪夢だ。どす黒い感覚が全身を支配する。
そうか、そうだな。こんな思いでずっと彷徨ってここまできたのか。
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◆お借りした流れ
【illust/80250870】
【illust/80244758】
あたりを踏まえてますが別の時間軸かもしれないそうじゃないかもしれない。
すでに救援がきていてさすがですよみなさん…
◆お借りしました(敬称略)
ソニアライン【illust/79020552】
イデオルト【illust/79027869】
クレバス【illust/79060776】/【illust/80210592】
フレア【illust/79168750】
フラム【illust/79109713】
※お借りしている方の行動制限をするものではありません
パラレルスルー呪文を唱えてください
※展開等ご都合いいようにどうぞ!
◆半幽商人ブラックラック【illust/79098412】
◆亡者レフコー【illust/80240630】
非公式イベント【星明り輸送作戦:illust/80240630】
◆pixivファンタジア Age of Starloght【illust/78509907】
◆最終章 星明かりの時代【illust/80189319】
2020-03-22 13:18:32 +0000