【PFAOS】暗闇、明ける。【原初の星光石】

あおとり

「彼、大丈夫でしょうか。まだ随分と眠たそうでしたけど」
「私たちにできることはしたのですから、そう心配しても仕方ないですよ。フェルデナンド」

フェルデナンドと獣人の青年_久遠の小さくなる背中を見送りながら、他愛のない会話を続ける。

「…優しい、ですか」
「姫?どうかしましたか?」
「いえ、なんでも。少し昔のことを思い出していただけですから」

__それを当たり前だと思っているアンタは、よっぽど優しい人なんだな。
ふと、彼が発した言葉が私の頭を過った。”優しい”という言葉が引っ掛かり、モヤモヤする。
私には、そう言われる筋合いは、資格はないと。そう思っていたのに。

「フェルデナンド、少しだけ私の昔話に付き合ってくれませんか?貴方の好きな『物語』のネタになる程でもない些細な話ですが」

聞いてもらったところでどうにもならないには分かっている。
ただ、それでも。このモヤモヤを吐き出した方が気が晴れる。そんな気がした。

■ ■ ■

こちらの流れをお借りしています。
【PFAOS】温かな優しさ【氷壁の神殿】 illust/80145287
【PFAoS】介抱と、解放と…?【氷壁の神殿・ハイペリア】 illust/80100025

三章で久遠君を見送った後の話。と共に、四章ログイン。
夜が明けて、目的の神殿が見えてきたよ。という感じ。
フェルデナンドさんが話を聞いてくれたかどうかはお任せします。(内容は回想として下に)

お借りしました
久遠さん(文中に名前のみ記述) illust/78954781
フェルデナンドさん illust/78956808
耐寒用クラウンストーン illust/79926318

ヘラクレア&ヘルモス illust/79116355

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子供のころ。私には同い年くらいの従者がいた。父が奴隷商人から買ってきた男の子の従者。
私は仲良くしようとしたけれど、彼は自分の立場を弁えてか。私とは少し距離を置こうとしていた。

ある日、私は彼がこっそり隠れて絵を描いているところを見つけた。
声をかけると怒られると思ったのか、とても怯えた態度でゴメンナサイと言ってきた。
彼の描いた絵はとても惹かれるものがあった。
それを褒めると、彼は唖然としていた。そうして一転として顔が赤くなり嬉しそうな顔をしていた。

それから私と彼は打ち解け、親の目を盗んでは一緒に遊んだ。
彼が絵を描くところを、私はそれを横で見ている。それだけの時間が何よりの楽しみになった。
しかし、それを周りは許さなかった。身分が、立場が。それを許してはくれなかった。

彼のような人達がもっと自由に暮らすことができたら。そんな子供の絵空事で私は魔導兵器の研究者になった。
自立する魔導兵器の手助けがあれば、奴隷という立場の人々の開放に繋がると信じていた。

だけど、その過程で気付いたことがあった。
魔導兵器にも魂はあるのではないか。魔導兵器にも自由はあるのではないか。
そう思える出来事があった。

もし、そうだとしたら。私は奴らと変わらないのではないか。
都合のいい駒を、都合よく扱っているだけではないか。結局私も、どうしようもなく奴らと同類だと思えた。

#pixiv Fantasia: Age of Starlight#PFAOS#Haiperia#【CrownOrb】#原初の星光石【青】

2020-03-21 17:26:39 +0000