数ヶ月前。某国、某富豪の家から妾の子が逃げ出した。
妾は彩髪族でその娘もその特徴を引き継いでいたという。
―――新大陸のとある野営地で変わった髪色の娘を見かけた。
持参した道具も少ないらしく、金はあるとのことで他の者から何かをよく購入しているようだ。
ひらひらとした服装もとても開拓者だとは思えず場違いだと感じた。
誰と仲良くすることもなく野営地の近くに座り込んでいたり景色を眺めているだけの少女。
しっかりと髪を結い上げ、眉墨や薄い紅をさしていて凛とした雰囲気も不思議だ。
それに変わった光彩を放つ長い髪があまりにも綺麗だったのでつい時間を忘れて見つめてしまうのだ。
しばらく見入っていると娘が振り返って顔を歪めた。
「ジロジロ見てんじゃねぇ!金取るぞもやし野郎!」
娘が去ってからも私はぽかんと口を開けてその場に立ち尽くしていた。
この娘、とても口が悪い!
彩云【illust/80238482】
2020-03-20 05:42:30 +0000