◆企画元さま:フェシーナの花々【illust/76345084】
最終期となりますが新規にてお邪魔いたします。
※主催様確認済
◆小鈴(こすず)
年齢:見た目20代/身長:153/性別:♀
ポイント:10pt【STR:0/DEX:7/INT:3/LUCK:0】
◆前期:- (0pt)
前期開花相手:-
前期開花相手今期:-
◆素敵な開花のご縁をいただきました!
アルヴさん【illust/79520790】
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「自分がどうしたいのかわからない。見極めたいの。だから、猶予が欲しい」
「ここに置いてください。ただでとは言わないわ。
掃除とか食べるものの用意とか…なんでもするわ。……どう、かしら」
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あてもなく放浪していたある日、
気がついたら目の前にあった汽車。
その傷だらけの姿はなんだか自分のようで
前を歩く人につられ、気がつけば乗り込んでいた。
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(――とは言ったものの)
一時の住処として与えてもらった機関室でため息をつく。
意外にも快諾してくれた、車掌だという彼に聞いた乗客たちの話。
この汽車に乗り込み眠ればもう目が覚める事はない。
案の定眠る事も出来ず、かといって降りて何かしたいわけでもなく
思わず猶予が欲しいと口にしてしまったのだ。
置いてもらう以上最低限、いやそれ以上のことをしたい。
そしてきちんと考えたい。きっと自分にとっての最後の機会だと思うから。
(最期を迎える部屋だもの、とびきりきれいに…お花を飾ってみるのもいいかな?)
(私は、生きたいのかしら)
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(そういえばあの人、普段は何をしてるのかしら。眠っているところも見た事がないような)
「……お夜食でも作って、晩酌にでも誘ってみようかな?」
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つまめるものを作り、時間を見つけては彼を誘い、話し、また部屋を整えて。
そんな日課とも言えるようになった日々を過ごす中で伸ばし伸ばしになっていた結論。
自分でも奇妙だと思うけれど、以前よりもきちんと思考できた気がする。
「ねえ、今日少し時間をもらえるかしら。話したいことがあるの、だけれど…」
整理した本心は歪で醜くて。
うまく言葉に出来るかはわからないけれど、伝えてみようと思ったのだ。
「ずっと、考えていたの。自分がどうしたいのか。……わかったの。
私、生きたい。死にたくないわ。だから、ここにいる資格は無い」
「でも。私は、ここにいるから生きたいと思う。ここにいられないなら、
……下車、しなければならないのなら。生きていたいとは思わない。
ここにいるから、あなたといたから生きたいと思えた」
この汽車で彼と接し過ごす日々は楽しかった。
死に向かう場所。ここで生きたいと思ってしまった私は矛盾している。
けれど、気付けば手を差し出していた。
「わ、私前は招き猫とか言われてて、今なら結構お得だと、思うのだけど…!
そ、そうじゃ、なくて、ええと」
「ずっとここにいさせてほしい。……私、と…………」
(だめだったら、元に戻るだけの話)
「私と、生きてくれませんか……?」
あなたの一部になるという選択肢も捨てがたいけれど
この手を取ってほしいと 願って
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「あのとき、この道を選んで良かった」
「私に居場所を、帰る場所をくれてありがとう」
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◆何かございましたらご連絡ください。
2020-03-15 12:08:40 +0000