【PFAOS】青い鳥の正体【星の降り立つ都】

エイリ/PF専用垢

※こちらの作品は独断と偏見と願望反映で作成されております。問題不都合が発生した際や、時間軸等問題が生じた場合は、寛大なキモチで、パラレル魔法(if扱い)の発動お願いします。※
※盛大な自キャラファンタジア※

百年前、
神に愛され、皆に祝福され生まれた娘がいた、

百年前、
魔のモノとヒトの間に生まれ皆に迫害された少年がいた。

少年の自由を否定する神に少女は怒りながら、少年に自由になっていいのだと。
手を差し伸べた。
少年は自分のために怒る少女に、自身を迫害から護りながら小さな騎士のように気高く護る。
少しだけ年下の少女に心惹かれた。

「まぁ、ありがちな話だよな。」
ははっと笑うロビンが火のついていないタバコを指で弄びながらミラが知りたいと言う自分の昔話を口にした。
「クックも・・・そのお話をしてくれたことがあったわ。青い鳥の住まう都に貴方を連れて行くと言ったって。」

覚えていたのか。ロビンは驚きながら、聡明な彼女が未だ自身の前ではあまり語らない理由に納得をする。
「そういうことか。」

ココは確かにかつて二人で夢をみた都に似ている。
幸せを呼ぶ青い鳥はいなくても、心優しい白い鯨が護る優しいゆりかごのようで、

自分たちが失った時間、一緒に探しにいこうと約束した夢を形にした。
全てがそこにあるように錯覚するほど穏やかな場所。

同じコトを思っているなら、何故言わなかったのか。ソレはクックが優しくも。
未だ自分を護ろうとしていることに他ならない。
「ミラ、サンキュな。ちょっと悪いが用事ができた。」
「わかったわ。」

 
 
 
居住区で借りた部屋、ぼんやりとするクックの元へと向かうと、彼女を抱き上げ、人のいない湖畔へと移動する。

「クック、オレにとって青い鳥は場所じゃない。」
「っキミは」

深い深い青色の瞳がこぼれるほど大きく見開かれ。ソレ以上は言うなと言うように唇を噛み締め言葉を詰まらせる。

「キミはバカだ。いつまでボクという初恋に捕らわれているつもりなんだ。」

初恋の残骸にすがりついているのは自分もだ。
ロビンを思うのであればどんな形を取ってでもその命を絶てばよかった。

それでも出来なかったのは生きることではなく。彼との失った時間への執着からだ。
彼を責めることなど出来ない。
自分だって同じなのだ。

自分に残された時間は余りに短い。クックはソレを理解している。

教会が肉体の時間を止めていたとはいえ。何度も何度も道具として酷使した体は多分持って十数年。
しかも、ヒトならざるものの器として最適な形にされてしまっている。
次に、何か、ヒトならざるものが入ればきっと自分という存在が消えるのだ。

この感情も記憶も何もかも。
無責任にかわした昔の約束を二人で噛み締めるなど出来ようはずもない。
自分は、元々ただの人間だ、彼を置いていく側の人間だった。
ソレなのに。

百年も彼の時間を奪い、未だ彼の心まで奪っているのだ。
それは聖女ではなく魔女の所業ではないか?

「キミはばかだ。」
一日に何時間かしかはっきりしない意識、ろくに動かせないからだ。
こんな体で目の前の、昔より更に大きく成長した彼の今を奪っていいわけが無い。

「クック、オレにとっての幸せは、あの頃の時間だ。オマエと過ごした五年間。あの思い出があれば一生幸福に生きられる。」
「ロビン?」
「オマエが拒むなら、オマエの死後、後追いしないとも約束してやる。」
「じゃあ、どうして。」
「最期の時間までオマエといたい。オレが想像しているよりオマエの体はもう長くはもたない。そうなんだろう?」
「っ」
「解ってた、棺を開けて生きていたお前を見た時生きていたことが奇跡だったくらいなんだ。今という幸せは夢みたいなものだってコトくらいわかっているさ。」

抱きしめる力にちからが篭る。そしてロビンは苦く辛そうな表情を浮かべながらも笑う。

「それでも、オレにとっての青い鳥だったオマエが。最期の時間、幸福な時間を送れる場所で。すごしたい。ソレが今のオレの望みだ。」

青い鳥を探そうといった彼は、自分の為にいっていたのだとクックは初めて知る。

今までは。
幼い頃の夢を未だ追っているだけだと思っていたのに。
そうか、彼はなにもかも理解してその上で………。

「キミは本当にバカだな。キミはもう自分の足で歩けるじゃないか。」

物理的にも、心のほうでも歩けなくなったのは自分だった。
そう気付いたクックは涙をこぼしながらロビンを抱きしめ返す。

「いいや、オレの心もまた止まってんだよ。」
見透かしたような優しい口調で答えるロビンに言葉がつまる。
「………。」
「ミラやシフが受け入れてくれるならここでもいい、ここがだめなら他でもいい。お前が前を向いて死ねるようにオレは傍にいる。だからオマエが死んでからも、オレが生きられるようにお前はオレを見ていてくれ。」
「っ……しかたないやつだなキミは。本当に仕方ないヤツだ。こまったやつだよキミは"ミチル"」

小さな小さな聖女と、魔族の血の少年は。
ある物語になぞらえ自分たちの真名を書き換えた。
ソレは聖女とヒトならざるものだから出来た世界からのルール違反。

けれど、ソレは
お互いの誓いを絶対に護ると、君を護るという小さな子供なりの。
恋と誠意を込めたまじないだった。

「いいんだ。泣くなよ"チルチル"」

あの寓話の中で確か青い鳥は探した先には、結局いなかった
幸福は手元にあった。というような内容だったと思い出す。

こんなにも愛おしい。
そして、死という時間を少しでも先になって欲しいとねがうのはいつぶりか。
全てを諦めていたクックの心に小さな火が灯る。
ほんの少しだけ自身が生きることを肯定する小さな灯火が。

ロビンもまた、独り、思い出の中で生きることを止め、目の前で今を向いた、自身の青い鳥であり。
愛しい者の姿に微笑む。
この小さく、折れそうに華奢な体で、強い生命を宿した目をした彼女が好きだった。
どんな時でも前を向き立ち向かい、神などと唾棄しながらも人を護る為に神に頭を垂れることを惜しまない。
みんなの聖女であり、自身の英雄だった彼女にあこがれた。そして、砕かれながらも、今、またもう一度強く輝く彼女にまた惚れる。

「愛している。チルチル」

二人だけの秘密の名で愛を囁く。

「・・・・・・ボクもだよミチル」

ようやく昔と今の気持ちを認めた、不器用な元聖女の小さな告白は静かに響いた。

【お借りしました】
名前のみミラちゃんillust/78953661

クックとロビンillust/78955762

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2020-03-14 15:14:29 +0000