【PFAOS】雨の訪問者

矢木坂せと

その日は強い雨が降っていた。
市街地から離れた店舗兼居宅で窓や外の樹葉を雨粒が打ち鳴らすのをぼんやりと聞きながら、インクに混ぜるための星光石を道具を使い磨り潰していた。
外が仄暗くなるころ、扉を叩く音が聞こえた。訪問者だ。
ドア越しに誰なのか問うと男の声が返ってきた。
名をデュランテ・マテリア・ネラといい、仕事の話をしに来たという。
名前と噂だけは耳に入れたことはある。アステラに拠点を置いている両替商。
扉を開けるとそこには雨に濡れたマントの男がいた。
そう思うのは先ほど声を聴き、その身に着けているものを見たからだろう、そこそこ上等な生地の男物の衣服を覆うマント…しかしそのマントのフードの中にはそこにあるべき顔というものはなかった。
空虚。噂に聞いていた不気味な姿。
つまりはそのまま見えず得体の知れないという事かとその姿を見て納得した。
雨で感覚が鈍るが近くの木の傍に人の存在を感じた。

「あなたのお噂はかねがね…お連れの方もいるのですか?」
「扱うものが扱うものなので身辺を守っていただいているのです」
「…そういうのもあるんですね…」

雨に冷やされた空気が開けた扉から家屋に入り込もうとし側に滑り込むのを感じた。

「このままここでお話しするのもお辛いでしょう
 どうぞ中へお入りください…」

今にして思えば彼がこの雨の日に訪れたのは計算のうちだったのかもしれない。

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お借りしています
星座銀行 デュランテ頭取
illust/79211880
(過去捏造申し訳ない!問題ありましたら下げます!)

インク屋インカース
illust/79115371

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2020-03-10 13:37:32 +0000