「こんな所誰かに見られたらどうするんだバカ!降ろせよもおおおおおおおお!!」
「走れないくせに何を言っているのかしらこの子は」
誰に見られて困るものでもないでしょうに。
と、クワトロは人形らしく顔色一つ変えずにそういった。人形らしくないわざとらしいため息をつきながら。
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見たこともない技術で造られた街並みを夢中になって見ていた。
透ける鏡面の壁、見たことのない合金の柱。
それらが壊れた隙間から植物が伸びて暗い隙間を作っていた。
そこに群れているねこさかながいて、新大陸のこんなところにもいるものかと感心している矢先に
『星座銀行頭取刺される』なんて見出しの新聞をウノが持ってきて、内容を読んで一気に血の気が引いた。
「は…?嘘だろ!?」
あの人がそう簡単に死ぬだなんて思ってないが、それとこれとは別問題だ。
冗談じゃない、僕はまだあなたに金以外何も返してないんだぞ。というか金ですらまだ途中だ。
僕の不安と叫び声に呼応するかのように目の前の隙間からよくわからないものが這い出てくる。
うっかり悲鳴を上げてしまい、驚いたねこさかながわんさか飛び出してきた。
それと一緒に噴き出すように出てきた靄状の闇は僕の記憶にある不快な何かをかたちどろうとし、僕に向かって襲い掛かってくる。
そしてクワトロが猫の子みたいに僕を回収して走り出した。
一度に何でも起きるな。散々だ!
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おかりしました
ねこさかな【illust/79007497】
頭取刺されたってよ【illust/79884794】
恩人が刺されたって聞いてハチャメチャに動揺した。
アディ【illust/79407516】
PixivファンタジアAOS【illust/78509907】
2020-03-08 11:01:13 +0000