●こちらの素敵企画様に参加させていただきます。 月にとける【illust/78186139】
●●..♥3/16 素敵なご縁を頂きました。
適合者が見つかったと知らせを受けた。
早まる鼓動と今まで感じたことのない高揚に身を任せながら、無機質な白い部屋の天井を仰ぐ。
白く灯る電球がちかちか、と瞬き、目の中を焼いて焦がすようだった。
「……なぜって、どうして?あなたは、蜜のものなのよ」
闇に溶ける髪と月のようなきれいな瞳。
怯えるように目をそらし、顔も合わせないように蜜をこばむあなた。
願っていた、焦がれていた、やっと見つけた蜜のもの。それなのにどうして、そんなに嫌がるの。
「はじめまして、蜜は古鷹蜜。あなたのドナーよ。……ねえ、聞いてる?ずっとずっと、そうして何も聞かないつもり?」
怯えたように、じゃなくて、怯えているのね。
深く頭を下げ、蜜を見ることもせずにただ謝るあなた。移植を断らせてくれと、それはいけないと繰り返し。
「同情でも、なんでも、そうしないとあなたは死んじゃうのよ」
「蜜は、あなたに生きていてほしいの」
(あなた、なにか勘違いしてるわ)
「あなたは蜜のものなのだから、断る権利なんてないわ」
顔を覆う手を無理に引き離せば、狼狽える月の瞳と目が合った。
「ひどい顔ね」
(何度も何度も何度も何度も何度も何度も)
(何度も何度も何度も何度も何度も何度も)
(何度も何度も何度も何度も何度も何度も)
(何度も何度も何度も何度も何度も何度もなんども、)
夜の後ろを追う。蜜のものだと嘆いて望んで時には棘を向けた。
それでもあなたは蜜を見ない。どんどん体は蜜ではなく月に奪われていって、あなたの瞳すら奪う。
蜜のもの、蜜の適合者、蜜のレシピエント。ねえ、嫌われるのは悲しいわ。
(どうして受け入れてくれないのと聞いた)
(あなたは、「貴方なしでは生きられなくなってしまうから」と言った)
「……それで、いいのに」
(自分の一部が当てはまる相手に、執着をしていただけだった。
誰でも良かった。どうせ蜜のものになるのだから、ただただ"蜜のもの"がほしいだけだった)
(あの部屋で、あなたを見るまでは)
夜の後ろを追う。蜜の夜昂だと叫んで縋って時には牙を向けた。
あなたは自分を忘れろと言う。到底無理なことを、それが正しいことのように言うのだ。
それならば、無理やり掴んだ腕も、無理やり合わせた瞳も、蜜にとっては此方のほうが正しいこと。
喉が裂けるまで喚いたって構わない。それであなたが蜜を見るならば。
(甘い言葉。あれほど自分を拒絶していたあなたが、蜜だけを見て言葉を紡ぐ。
醜い、みっともないとあなたは言う。そして、)
「蜜が、夜昂のなの?」
「……ええ、そうね。それなら、最初からそうだったわ」
「ぜんぶあげるわ。あなたは、蜜の夜昂なのだから」
(いつぶりだろうか、顔が綻んだ)
夜の隣を歩く。手を握り、どこにも行かないように。
あなたの怪我を許さない、あなたの自由を許さない。あなたは蜜だけを見ていればいい。
「夜昂、蜜の夜昂」
「あなたは何も不安に思わないでいいのよ。蜜に愛されて、蜜を愛して、ただそれだけ。それだけ覚えていればいいの」
(ああ、そういえば)
(その月のような瞳。月の病に奪われそうになったのに、移植をしても月を持ち続けるなんて、少し腹が立つわ)
(きいろくて、とけそうなほど甘い色ならば)
「……蜂蜜みたいね、あなたの瞳」
欠片だって、誰にもあげない。
夜昂は蜜のものなの 夜昂さん【illust/79688415】
●古鷹 蜜 フルタカ ミツ
18歳/女性/154cm/ドナー
「蜜」「あなた」「名前呼び捨て(移植者限定)」
●誕生日を迎えた後の高校三年生。
穏やかで淡々としている、どこか物憂げであまり感情の起伏がない。
●自身の「レシピエント」に並々ならぬ執着をいだき、「自分のもの」として扱う。
目に届かない場所にいれば文句を言うし傍に来る。
怪我でもした日には泣いてしまう、大事な大事な宝物。
それに比例して自身にあまり興味がない。
●離れることを許さない、拒むことを許さない、逃げることを許さない。
抜け出すことは容易だが、いつまでも追い続ける牢のような女性。
「嫌がられても、拒まれてももう、あなたの中には蜜がいるわ。どうしようもないのよ」
「……でも、嫌われるのは悲しいわ。ずっとこれから一緒なのに」
●。♥ご友人様
通っている塾の講師さん 伽藍朔日さん【illust/79539858】「先生」
「先生、わからない所があったの。……ふんふん……そうね、ありがとう先生」
「……先生は、変な人ね。蜜は一人っ子だから、お姉ちゃんっていうものがどういうものかわからないけど。先生みたいなお姉ちゃんは楽しそうだと思うわ」
「(まぶしい人)」
●既知関係について
友人等は随時募集しております、お気軽にお声掛け頂けると嬉しいです。
●なにか不備等あれば、恐れ入りますがお申し付けいただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
2020-03-07 07:56:40 +0000