大正9年(1920)、名電に最初のボギー車1500形が登場したことは前にも書いた。
この内、那古野車庫で火災に遭った7両が三扉に設計変更のうえ、モ350となっていった訳だが、火災から免れた3両はというと、2扉のままいち早く郡部線にデビューする。これがのちのデホ300形で、最初期ボギー車のスタイルをそのままに残していた。
デシ500形に比べ、車体は格段に大きくなり、運転台も吹きさらしでなくなったのは大きな進歩だ。また、台車はかの有名なブリルMCBで、車体の随所には独特の飾り文様が施されている。新進気鋭のニューフェイスといった所だろう。
このデホ300形3両は、昭和8年には郵便合造車デホユ310・320形に改造され、これまた名鉄史上稀な珍車となった。戦後は電装解除され、ク2270形として昭和37年まで活躍、最後の舞台は瀬戸線だった。
個人的には3ドアのデホ350もいいけれど、窓がずらりと並んだデホ300も結構好みである。
2020-03-05 14:53:23 +0000