名古屋電気鉄道トク1・2~木曜日の郡部線~

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木曜日、と言っておきながらまたもギリギリ間に合わず・・・(;'∀')

さて今回紹介するのは、旧名鉄に史上3両しか存在しなかった、貴賓車両のうちの2両だ。戦前の鉄道においては、皇族や華士族、地方の名士、外国の賓客などの乗用に供するための車両(貴賓車両)は珍しいものではなかった。鉄道省のお召し車両以外にも、東武や南海、近鉄の例がよく知られているが、実は名鉄にも存在したのだ。

時は大正元年(1912)、名電に2両の貴賓車両が竣工した。それがS.C.NoⅠとS.C.NoⅡの兄弟車こと、トク1・2号である(S.CはState Carriageの略とされる)。車内には豪奢な向かい掛けのソファがゆったりと配置され、調度品も凝ったものだった。因みに前回登場したデシ500の改造名義となっているが、実際には最終増備車を設計変更して仕上げたものと推定されている。台車はもちろんラジアル台車だ。
なお、トク1は側面中央窓が小さくなっており、ここがトク2との識別点であったという。

何と可愛らしい兄弟車だろう。これでも大正年間には裕仁皇太子や浅野長勲の乗用にちゃんと活躍しているのだ・・・!前面には誇らしく「NERC」(名電の略)と車号が誇らしげに掲げられていた。

だが栄光も束の間、トク1は大正9年に火災に遭って焼失、廃車されてしまう。一方のトク2は一般車デシ550に格下げ、一旦は除籍されるが、戦後の車両欠乏で大逆転の復活劇を遂げた。最後の呼び名はモ85、600V時代の安城支線が最後の舞台だった。(安城支線は西尾線南安城と東海道線安城を結ぶ短絡線。昭和36年に廃止された)

濃緑色の車体だった、と言われており、この目で見てみたかったなあ・・・と強く思う車両である。

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2020-02-27 16:04:47 +0000