轟爆ディ〇ニーデート(他キャプション

まるい
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キャプションって3000文字も入力出来るんですよ。フルに使ってみたいなと思ったので、ショートなお話を書いてみました。轟爆だけに…!
*計画性が無さ過ぎて余裕でオーバーしたので、途中すんごい端折り方しました。文章って難しい。
切爆要素を含みます。あと会話が下品です。





プロヒーローになって三年。爆豪と付き合い始めてから一年と半年。衝撃の事実を知った。
「お前、学生の頃切島と付き合ってたのか?」
「だから、そうだっつてんだろ。何回も聞くな」
轟の部屋で夕飯を作る爆豪は何食わぬ顔で答える。
「何で今まで黙ってた?」
「黙ってねえ。言う必要が無かっただけだ」
思い返せば学生の頃の爆豪はどう考えても切島の事が好きだったし、二人の間にはただならぬ空気があった。
しかし爆豪が自分を選んでくれた事に油断していた。切島の事を選ぶ爆豪が轟の事を選ぶとは思えなかったからだ。
「これから切島とどんな顔して会えばいいんだ……」
「今まで通りでいいだろ。向こうはずっと知ってたし」
「いや、もう無理だろ。俺の気持ちが無理だろ。切島と穴兄弟なんだぞ」
「てめぇ、ぶっ殺すぞ。人の事穴扱いしてんじゃねえ」
これまでの切島との思い出が走馬灯の様に蘇る。
任務先で会った時、忘年会で会った時、切島はどんな気持ちだったんだ。俺の事を見て爆豪を思い出したりしたのだろうか。俺はクソみたいな事に思考を巡らせた。
「俺の童貞返せ」
「てめぇが勝手に寄越したんだろ」
シンクにもたれる轟に筑前煮を押しつけて爆豪は言う。
「黙って飯食ってろ」
受け取った筑前煮を黙って食卓へ配膳する。
爆豪は週に何回か轟宅を訪れては、料理の出来ない轟の為に作り置きをしてくれる。
残りの配膳を終えた爆豪は轟の前に座り、いただきますと手を合わせると食事を始めた。それを見届けて轟も食事を始める。
爆豪と切島はとても相性が良さそうなのに、何故別れたのか。爆豪はまだ切島に未練があったりするのだろうか。

↓↓↓
翌日、轟は任務で切島に会うよ!
ご飯に誘われたから着いていくよ!
食事の途中で爆豪の話になったから、学生の頃の切島と爆豪の話を聞いちゃうよ!
切島は爆豪に振られた旨を伝えるよ!
↓↓↓

気がついたら俺は爆豪のマンションに来ていた。
見上げると、爆豪の部屋には明かりがついている。惹き付けられるまま光の先へ歩みを進めた。
オートロックはいつだったかに貰った合鍵で潜り抜けて、爆豪の部屋の前に立つ。ベルを押すか鍵を使うか少し悩んで、連絡も入れていない事に気がついた。
時刻は日付が変わる少し前。突然の訪問に爆豪は怒るだろうか。
帰ろうか、考えてる間に体は勝手にベルを押していた。
程なくして分厚い扉が開く。
「来るなら連絡寄越せや」
内側から轟を確認していたのであろう爆豪が開口一番にそう言った。
「わりい」
「はよ入れ」
言われるまま室内に入る。
玄関で靴を脱ぎ、爆豪を追い越して短い廊下の先のリビングへ向かう。背後で鍵を閉める音がした。
「メシは食ったんか」
「食った」
ソファにコートを脱ぎ捨てて振り返ると爆豪は顎をしゃくって先程通ってきた廊下を指す。
「泊まってくんだろ。さっさと風呂入れ」
泊まるつもりはなかったが時間も時間だし、帰る事は考えていなかった。
言われた通り、元来た道を戻って廊下の途中にあるバスルームに入る。

シャワーを浴びてリビングに戻ると、爆豪はソファに座ってニュースを見ていた。ソファに脱ぎ捨てたコートは壁にかけられている。
タオルで頭を掻き混ぜながら爆豪の隣に座る。ちらりと横目で俺を見た爆豪が「ドライヤー使え」と言ったので、左の個性で乱暴に髪を乾かした。

「今日、切島とメシに行ったんだ。たまたま現場が同じで」
爆豪の表情を伺いながら話を始める。
爆豪はテレビから視線を逸らさずに「そうかよ」とだけ答えた。
「爆豪が振ったんだってな」
「何が」
「切島の事」
「切島が言ったんか」
「俺が聞いた」
爆豪は変わりなくテレビを見ている。怒っている風も焦ってる風もなく、その感情は読めない。
「何で別れたのか、聞いていいか」
轟は爆豪が何を考えているのか分からなくて、伺うように彼の手を握りしめた。
「何でもクソもねえ。相性とタイミングの問題だ」
番組がCMに入ると、爆豪は轟に視線を移した。
「男女の恋愛だってそうだろ。要はタイミングだ。別に特別何かがあった訳じゃねえ。俺には目標があって、アイツにも目標があった。その為にあの時は一緒に居るべきじゃないと思った。それだけだ」
爆豪は真っ直ぐに轟を見詰める。
「それって今は当て嵌まらないんじゃないのか?もう"あの時"とは違うだろ」
「それこそタイミングだろ。側に居ないうちに気持ちが冷めて、ちょうど良い所にお前が居たんだよ」
爆豪は何て事ないみたいに言う。それに不安を覚えてしまう自分は女々しいだろうか。
爆豪が切島に執着していたら、それはそれできっと嫉妬してしまうのに。

「それとも何か。てめえ俺に切島宛がって、どこか逃げようとしとんのか」
知らず下がっていた視線が爆豪へ戻る。目が合った爆豪は少し不機嫌そうだった。
その姿に安堵して、取り繕う。
「そうじゃねえ。ただ学生の頃の爆豪思い出したら、切島の事すごく好きだったんじゃないかって思ったんだ。なのに何で俺と、って……」
言葉にすると何て情けないんだ。尻すぼみになった言葉に爆豪は笑った。
「そんな事考えてたのかよ。だせえ」
同意しかなくて、情けない自分に俺も笑った。
「もう学生じゃねえだろ」
テレビはCMがあけて、アナウンサーが次のニュースを読み始める。爆豪は画面に視線を戻した。
自分では何とも出来ない焦りが伝わってしまう気がして、俺は握りしめていた爆豪の手を離した。
「お前と会ってなかったら切島とより戻してたかもな。でも今の俺にはお前の方がしっくり来たんだよ」
視線が合わなくなった爆豪の横面を眺める。

「切島よりもお前の方が好きだって思えた」

爆豪がいつも通りの表情で放ったその言葉に、さっきまで消えなかった腹に溜まったもやもやが綺麗さっぱり無くなって、世界に色が戻っていく。
女々しいとは自分でも思う。けれどその一言が欲しかったのだと、言われて初めて気がついた。
「切島に未練なんてねえ。だからお前と居……ぶっ」
言葉を続けている爆豪を抱き締めて、もう大丈夫だと伝える。
爆豪は俺の腕に埋もれて苦しそうに顔を上げた。
こうやって俺の不安がなくなるまで言葉を続けてくれる気だったのだろうか。粗暴な言動とは裏腹に優しい男だ。

「満足したかよ」
「大満足だ。ありがとう、爆豪。ごめんな、かっこ悪い事して」
「かっこよかった事なんてあるかよ。顔だけだろ」
愛おしい気持ちのまま力一杯に抱き締めていると、何かを思い出したらしい爆豪が腕の中から俺を見詰めてきた。
少し腕を弛めて視線を合わせる。
「今日みたいにうぜえのはたまになら許してやる。けどな」
赤い眼がきらりと光り、向けられた手の甲から中指がそっと立ち上がる。
大きく歪められた口許と眉間の皺はまさに爆豪勝己と言った感じだった。

「次俺のこと"穴"つったら殺すからな」

俺は二度と口にしない事を誓った。

end

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2020-02-21 08:56:26 +0000