ルナス砂漠隊の探索チームは砂漠の真ん中にあるという遺跡に向かって歩を進めていた。
いくら新大陸の砂漠といえど、自分たちはルナス出身だ。
新大陸に挑む前は何度も月下砂漠を超えてきた。
そんな慢心が油断を呼んでしまったのかもしれない。
彼らがそれの接近に気づいたのはすでに間合いを詰められた後だった。
砂の中でまるで鮫の様な尖った背びれがきらめくのを見た直後、
鋭い歯を持った何かがこちらへ襲い掛かってきた。
避けることも反撃することもかなわず、
彼らは自身の首筋に赤い花が咲くことを想起した。
その時だった。
それらより一回り小さい同じような姿をしたモンスターが
襲い掛かろうとしていたモンスターの首元を鋭い牙で掻き切った。
その小さいものは他のモンスターがひるんだ隙を狙い、
首や腹を切り裂きすべて倒してしまった。
彼らがあっけに取られていると、
「おーい、大丈夫かー?」
と、少し呑気な声がした。
よく見ると、小さなモンスターの上にさらに小さい誰かが乗っている。
一心不乱に敵だった者達を食すそのモンスターの影から
ひょこりと顔を出した金髪の少女は、こちらの無事を確認すると
間に合ってよかったぜ。と白い歯を見せて笑った。
やがて食事を終えたモンスターは少女を乗せて、
砂漠を滑るように去っていった。
-----------------------------------ルナス砂漠隊の日記より
◆二章目は星の船の残骸【黄】に参加します。
また二章目に参加するにあたり模倣種ハティの姿が変わりました。二章はこの姿で冒険します。
なお大きさはハティが10㎝ほど大きくなりました。
星光石はマホーレム【illust/79327400】にて手に入れたカケラを使っています。
◆トウガとハティ一章目の姿【illust/79224606】
指名手配されてますが、ハティの姿が変わったことにより、バレなかったようです。でも以後気をつけます。
スナクサメ【illust/79623971】を模倣しました。
目の色、尻尾の形、角の数などが本物と異なっています。
◆後述にて真リヴェンジさんの設定を少しお借りしています。
【illust/79056190】
模倣種設定およびタグお借りしました。
独自解釈が大分入ってしまったので、問題などありましたらメッセージにてお願いします。
【illust/79007237】
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自分は同族の中でも最下位に属するものである。
生まれた時より"ソレ"はぼんやりと自分の立場を理解していた。
同族の共食いに勝てないほど自身は弱く、また別種に模倣しても完全には模倣できない。
同族や別種族から居場所を追われるうち、"ソレ"はいつしか一つの願望を抱いた。
『強いもの』になりたい。
初めに"ソレ"は人間を模倣した。しかしそれはすぐに間違いだと気づいた。
なぜなら彼らはその日その日を生きるので精一杯であり、
堂々としているように見える者でも、そこには怯えと虚勢が見え隠れしていたからであった。
次に"ソレ"は巨大なものを模倣した。しかしそれも間違いだった。
なぜならそれらはより巨大なものに羽虫のように蹴散らされ、
そのより巨大なものも弱いはずの人間に倒されてしまったからであった。
竜、人間、動物、植物、海洋生物、はがね人、モンスター…
ありとあらゆる種を模倣し続けた"ソレ"は、ある日忍び込んだ船で強烈な出会いをした。
それは奴隷船であった。
様々な種の奴隷を鮫の頭をした獣人が脅しているのを見た"ソレ"はその獣人を模倣しようとした。
しかしその時、強いと思っていた獣人が怯んだのだ。
獣人を怯ませた相手、それはとても小さな種だった。
金色の髪に赤い瞳。その瞳がまるで燃え上がるような強い光をたたえて獣人を睨んでいる。
獣人の中指ほどしかないはずなのに、叩き潰されればひとたまりもないはずなのに、
"ソレ"はその種に強い興味を抱いた。
観察したい。触れ合えるほど近くで。その強さを完全に模倣したい。
そうしたら自分は『強いもの』になれる。そして『強いもの』になったあかつきには―
ハティと名付けられた"ソレ"は今日もその種を観察している。
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◆pixivファンタジアAOS【illust/78509907】
2020-02-19 18:17:51 +0000