【PFAOS】とある家の話

ふささと
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 ここから星光石の鉱脈に行くまでに森を通るだろう。その中間地点に一軒の家がある。
 メインルートからは外れている、不便と言っていい場所だ。そこには夫婦と子どもが住んでいて、空いている部屋を森を通る人間に提供している。如何せん他にあるのは木々ばかりだものだから、何か急な事態があった時に頼りにする輩も多いと聞く。礼を欠く事さえしなければ、家にいる誰かに言えば泊めてくれる。
 主に家で見る事が多いのは女主人だ。旦那は部屋にこもっていることが多いし、子どもは人見知りで人前に出たがらない。後は、定期的に荷を配達に来る有翼人の青年に、旅商人をしているらしい獣人の少年の話を聞くかな。
 ……家の噂話か?あるにはある。曰く、地下には財宝が隠してあるとか。それに手を出そうとした輩が返り討ちにあったとか。前に家の人間に助けられた竜が守りをしているとか。恋人と行くと別れるとか。ここ数十年、彼らの見た目は全く変わらないとか。
 彼らに、なんでこんな場所に住んでいるのか、と尋ねた者がいたが、答えは揃ってひとつだったそうだよ。ここで、しあわせに暮らしたいのです、ってね。
 まあ、必要なら行ってみるといい。歓迎してくれるだろうさ。


 恋人にもう一度会いたかった。
 目が覚めた「わたし」の目の前の男は喜んでいた。やった、あぁベル、おかえり等と言って「わたし」に抱き着いてきた。目が覚めたばかりで、その声を聞きながら、おなかが空いたなと思って。なので、
 ひとりになった。「僕」は満たされた腹を撫でつつ、広い部屋を見渡した。家の地下にため込んできた、ふたりで数十年は生活が送れるように準備した星光石。食料も余裕が出来たことだし、しばらくは何の心配もなさそうだと感じて、軽い足取りで「僕」の家を歩いてまわった。
 ふたりで静かに暮らすために用意した家は、時折人が訪れた。口減らしで捨てられた赤毛の子どもが辿り着いた。手傷を負った諜報員が這う這うの体で転がり込んだ。森で迷い、荷を失くして途方に暮れた旅商人の少年が迷い込んだ。森の調査だと言って、竜に乗った兵士が尋ねてきた。
 森に住む、か弱い女。「わたし」だと、幾分食事がしやすかった。
 そのうち、鉱脈へ向かうという人達が立ち寄ることが増えて、食事には余る程になった。全部食べるのをやめて、空いている部屋を提供したら、定期的に人が来るようになった。
 「わたし」の望みは、ここで穏やかに暮らすこと。「ベル」の形を与えられた時から、目が覚めた時から、それはずっと変わらない。

ひとりの模倣種の話


獣の大陸のどこかにある家の話。
そこに住むひとりの模倣種の話。


・来る人をたまにつまみ食いしながら「ひとり」で森に住んでいます
・全員同一人物(?)なので同時に登場することはありません
・全部「自分」なので、それぞれの姿のことは名前で呼びます(ベル、ジェイミー、……)
・「ベル」が主、という訳ではなく、場に合わせて服装を変えている感じ
(運搬に便利なので有翼人、森で昼寝したいから子供、高いところの掃除がしたいから男etc)
・つまみ食いした人のフリして村に行って生存アピしたりします

・2部屋しかないですが普通に泊まれます
・深入りしなければ基本的には安全安心
・襲ってくる輩は全部食べるよ、立ち入り禁止部屋にはトラップが山ほどあるよ
・おなかが空いているときにうっかりつまみ食いをすることもあります
(仲の良い二人が宿泊→片方を呼び出す→おいしい→擬態してもう片方を呼ぶ)

そんな家です。
「」は模倣スキルガンガン使っていきますが、基本敵意はありません。コワクナイヨ

お借りしました:模倣種【illust/79007237

■pixivファンタジア Age of Starlight【illust/78509907

#ピクファン奇譚#【模倣種】#浮遊石の遺跡【赤】#pixiv Fantasia: Age of Starlight

2020-01-31 16:59:27 +0000