【ぴくせれ】正気【第三章】

詩穂

こちら すくむ【illust/78054288】 の流れお借りしてます。
※不都合な点等がございましたらパラレルスルーやメッセージをお願いします。

 震え怯えている姿を見て目を細める。
 堪らない、良い顔をする。

「そういえば恐怖によって血は甘くなるとか誰かが言ってたかな」
「...っ!」

 そう言いながら首を指でツゥっとなぞる。
びくっとサクリフィの身体が跳ね、ぎゅうっと瞑る目から涙が数滴溢れる。
 その涙を拭い、ペロリと舐める。
しょっぱい。

「ウ、ルさん...」
「あぁ怖がらせ過ぎてしまったかな?」
「正気に、戻った...?」

 今の様子に戻ったのかと思い、そろそろとサクリフィは目をあける。
だがウルはにこりと笑ったまま退く様子はなく、赤い目が怪しく揺らめく。
 その安堵しまた怯える様も眺めていたい。次はどう言おうか、何をしようか。
 そう考えるがどうしようもない渇きが思考を邪魔する。

 喉が渇く。血が欲しい、その肢体に牙を立てたい。我慢出来ない。

ウルはサクリフィの腕を持ち上げ、乱暴に袖をまくる

「...!?」
「噛まれるのは初めてだろう、サクリフィ?特別だ。少し痛くしてやろう」

 吸っている様子を見えるように、サクリフィの腕に立てる。
ぷつりと皮膚が裂け、いたっと小さく声を上げるサクリフィを横目に、血を飲む。
 久しぶりの食事は、甘く美味しく、満たされる
 .........。
 少しの間、ウルは腕から牙を抜き怪我をペロリと舐める。

「え、えっと...ウルさん...?」

 ウルはまずサクリフィの上から退き、頬を掻く。
サクリフィは突然の様子に驚いたように見る。
 先ほどまでの渇きが消え、頭が冷えた。

「あー...すまないことをしたなサクリフィ...」
「もう、大丈夫なの?」
「まぁ、うん...そうだな...」

 少し警戒しているサクリフィを見る。
そりゃあれだけ怖い思いをさせたのだ。警戒されて当然だろう。
 ウルは苦笑し立ち上がり、転がっているサクリフィの荷物を拾う。

「あれはあたくしだ。軍人じゃなく、吸血鬼としてのあたくし様だ」
「吸血鬼...」
 ほら。とサクリフィに籠を渡しながらなおも続ける。
「よくわかっただろう?あたくし様達吸血鬼はお前達とは違う存在だ」

 ここまでの飢餓感、恐らくは他の吸血鬼も同じ状態だろう。
場所によってはより酷い事が起こっている可能性もあり、下手に外を出歩けば怪我では済まないかもしれない。
ならば秘匿派軍人であるあたくし様はどうするべきか。

「また噛まれたくないなら家に帰って引きこもっておけ」

 サクリフィを護る為に家に帰して、原因であろう人物カールを ─聖櫃─ を倒す。

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訳:危ないから家に帰って!
サクリフィさんが逃げるのを見届けてから、ウルはカールさんの迎撃に向かう予定です。
予定なのでまだまだお話しても大丈夫です...お好きにどうぞ!

◇お借りしました
怖い思いさせてごめんねサクリフィさん【illust/76311263

素直に言えないウル【illust/76260892
◇企画:聖櫃に捧ぐ小夜曲【illust/75999276
※キャプション随時編集します。
※不備等ありましたらお手数ですが連絡お願いします。

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2019-12-11 11:13:55 +0000