午後6時を回りまして、お店の隅をお借りして失礼致します。
労働基準法では未成年は午後10時まで。つまり後4時間は皆様の前で喋る事ができるわけなのですが。まあ、そこまで長くはいませんが・・・あ、私ではなく皆様の方がですよ。今から4時間お好み焼きを食べ続けるのもなかなか大変でしょうから、皆様がそろそろ帰ろうかなという頃に私の話も終わって、御一緒に暖簾をくぐって、
「じゃあ」「今度は奢るよ」
というささやかなお付き合いができれば。あ、奢るよというセリフは皆様のものですよ?
え〜、辻講釈と言いまして。
外で道行く人達に講釈を少々ね、語っていた際にこのお店の中から漂う特製ソースの香りに心躍らせ、思わずこちらで店主の方に講釈をやらせてくれないかと、お願いしたものですから。いわゆるアポなしでございますね。
一つだけ申しあげたいのは、決して私はお好み焼きを食べにココに来たのはではございません。
講釈を演るためにここにいます。私は皆様に講釈を聞いて楽しい気持ちになって欲しいのです。楽しんで頂きながら伝統芸能を語る者の一人として、古き良き日本の話芸の素晴らしさを伝える。その気持ちには一点の曇りもございません。
・・・ところで辻講釈というのはおひねりをもらうものでしてね。
と言ったら諸先輩方に怒られるのでココだけの話にして、決してSNSでは拡散しないで、あっでも手段問わずに名が売れれば、フテぇヤツでも聴きに来る人が増えて釈界の繁栄に繋がるかなと思ったりなんかして。
そんな葛藤を抱えながらお願い致しまして、時間を1時間も頂きました。飯が不味くなるネタ以外だったら喋って良いと言う条件付きで。
私の持ちネタの9割が使えないという、アントニオ猪木がモハメド・アリと闘った際にプロレス技を使うなと向こうから突きつけられた条件のように厳しい状況でございます。
店主の方がパンチパーマのせいもあってか、まるでアリのように見えてまいりました。
闘いの後に和解をできれば、お好み焼きを頂けるでしょう!
それを信じて、私は皆様の前で渾身の力で喋るのでございます。
2019-11-01 03:53:50 +0000