『戦士のあがき』
私たちは負けない、相手が誰であろうと。
私たちは屈しない、どんな絶望だろうと。
私たちは諦めない、どんなに不可能だろうと。
私たちは、絶対に諦めない。
空のかなたから、神の軍団が舞い降りてきた。
この星を無に帰そうと、天空から舞い降りてきた。
軍団を指揮する女神はこう言った。
「お前たち人類は余りにも醜い。お前たち怪獣は余りにも醜い。
この星に生きる全ての者は、奪い合い、殺し合い、
騙し合い、破壊しあう、余りにも邪悪な存在だ。
この美しい星に、醜いものや邪悪なものは必要ない。
私がこの星を一から作り直し、完全に美しいものに作り替える」と。
そう宣言すると、天使の軍勢を差し向けた。
地上の全てを滅ぼす軍勢を差し向けてきた。
それは、私たちに対する死刑宣告だった。
私たちに滅べというの?
一人残らず死に絶えろというの?
そんなの嫌だ、滅びるだなんて絶対に嫌だ。
だって、私たちの未来は、まだ始まってもいない。
私たちは、これから大人になって、
未来を自分の手でつかみ取るんだ。
その未来を、今ここで潰えさせるわけにはいかない。
私たちだけじゃない、この星で生まれる全てのみんなにだって、
未来を生きる権利がある筈なんだ。
たとえ相手が神様だとしても、天使の軍勢だとしても、
その未来を奪う権利なんかない。
たとえ神に立ち向かうことが悪だとしても、
私たちの存在が悪だとしても、
それでも、私たちは未来に突き進みたい。
未来のその先を見てみたいんだ。
たとえそれが、ジコチューなワガママだったとしても、
私たちは進んでみたいんだ。
神の軍勢は余りにも強い。
私たちプリキュアも、そろそろ限界に近い。
私の親友も、全身傷だらけだ。
それでも、私たちは諦めない。
諦めてしまったら、未来も消えてしまうから。
たとえ神様でも天使でも、
私たちの未来は消させはしない。
消す権利なんかないはずだ。
醜いと言われたっていい、邪悪と罵られてもいい。
私たちは、自分たちの未来を守りたいだけ。
私たちの未来は、絶対に潰させたりはしない。
絶対に守り抜いて見せる。
最後の最後まで足掻いて見せる。
どんなにみっともなくても、
私たちは最後の最後まで戦い抜いて見せる。
私たちは、
絶対に諦めない。
『神の暴虐』
私は女神、全ての善を司る神。
私は女神、全ての美を守護する神。
私は女神、全ての徳を愛する神。
私は女神、絶対なる善。
そう、絶対なる善。
故に、
全ての邪悪なるものは許さない。
全ての醜悪なるものは許さない。
全ての悪徳なるものは許さない。
故に、この星に生きる人類や怪獣は許すことはできない。
人類、余りにも醜悪で邪悪な、悪逆の徒。
互いが互いを騙し合い、奪い合い、殺し合う。
ありとあらゆる悪徳の詰まった愚劣な生き物。
この美しき星を汚す、汚らわしい存在。
怪獣、余りにも野蛮で残酷な、邪悪の徒
他の生き物の血肉を貪り、全てを破壊する、
その醜悪な外見に違わぬ、暴力と悪逆の権化。
この星にいる価値のない、邪な存在。
そして、この星に生きる全ての生命体。
これこそが、ありとあらゆる悪の源。
この星に存在する、野蛮な生態系こそ、
この星の悪の元凶。
他の生き物を犠牲にして成り立つ生態系こそ、
この星で芽生える邪悪の根源。
何と哀れで、野蛮で、愚劣で、邪悪で、醜悪な生き物ども。
私が全部やり直さなければならない。
愚劣な生態系も、邪悪な人間どもも、野蛮な怪獣どもも、
私が全部一掃し、私が全てを創り直すのだ。
あらゆる悪も、醜悪も、悪徳も存在しない、
完全無欠の美しい生命体を、
非の打ちどころのない完全な地球を、
私が作り出すのだ。
そうとも、私が作り出すのだ。
この、絶対的な善である私が。
絶対善である私がすることに、
間違いなどある筈がない。
あらゆる善の守護神たる私が、
邪悪であるはずがない。
その私が創り直す地球が、
醜いものになる筈がない。
そう、私に間違いがある筈がない。
何故なら私は絶対的な正義であり、善なのだから。
そう、私こそが、
この私こそが、
正義だ。
2019-10-07 12:41:44 +0000