鮪の怨恨

炙色

風邪を引いて意識朦朧の中、道端で休んでいたはずの鮪が目を覚ましたのは見知らぬ部屋。
不思議に思いながら辺りを見回すと看病の形跡や食事が置いてあり、窓を覗き込むと整備された庭に一人の存在を確認した。
途端に黒い感情に支配され、取り憑かれたように建物の中を彷徨う。
やがて厨房らしき場所に辿り着き、包丁を持ち出して出口へ向かった。
途中金髪の幼い子が床に座り込んで転寝をしているのが視界端に映ったが何故か全く気にならなかった。
玄関を出ると先程見掛けた人物が箒で通路を掃いている。
包丁片手にゆっくりと近づく。
両親を殺したのも人間。
逃げた先では酷い扱いで働かせて、何の対価も得ることがないまま鮪を捨てたのも人間。
空腹に耐えながらも落ちていた果物をお店の人に返したのに、盗んだと思い込み銃で追い掛けましたのも人間。
ボロボロの鮪を見て暴言を吐いたり、ゴミを投げてきたのも人間。
鮪を不幸にするものは全部人間だった。
きっとこの空色の髪をした人間も私を不幸にするに違いない。

「あら、おはよう。調子は良くなった?」

鮪の方へ振り向き、そう言ってくる人間へ刃物を振りかざした。

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長くなりすぎてもあれなのでかなり端折りました。
字書きの才はありませんがこんな場面ですよと参考にでも。
[illust/63104568]
で話していない部分。

#original#OC#鮪

2019-08-23 16:51:53 +0000