シボレーベルエアは1950年にフルサイズの2ドアハードトップのモデルとして誕生しました。その名はカリフォルニア州ロサンゼルス郊外の高級住宅地の「ベル・エア」から貰い受けました。
今回のイラストである第二世代は1955年型から1957年型の三年間のモデルイヤーでした。通称はGMのキャンペーンから「ホットワン」、または生産終了後からは下位モデルの150、210、そしてベルエアベースのステーションワゴンのハローモデルであるノマドillust/66826202ともに「トライファイブ」とも呼ばれています。
チーフ・エンジニアのエド・コール、彼の右腕だったハリー・バー、そしてシボレーデザインスタジオのチーフだったクレア・マッキーチャンらの努力と決断によって誕生した、全長4.95メートル、車重1,568 kgの大柄ながらも洗練されていると捉えられたスタイリングのボディには2または4ドアハードトップの他に2ドアコンバーチブル、4ドアセダン、3または5ドアステーションワゴンがラインナップされました。
エンジンでは二種類の直列6気筒エンジン以外にも1917年以来の久々になるV8エンジンが搭載されます。このV8エンジンはシボレー265、通称『スモールエンジン』と呼ばれるもので、排気量4.3リッター近代的なオーバーヘッドバルブの高圧縮比、短ストローク設計を特徴としたもので、その後も長年わたってさまざまな排気量で生産され続けていました。1955年型では通常は2バレルキャブレターで162馬力、オプションの「パワーパック」では4バレルキャブレターとその他のアップグレードにより180馬力になりました。年の後半にはさらなる追加オプションの「スーパーパワーパック」が登場。高圧縮とさらに15馬力追加されて195馬力、更に1956年型は改良を施し最大出力が225馬力に増加。そして1957年型には大幅な改良を加えて新たに開発されたC1型シボレーコルベットのエンジンであるシボレー283を搭載。そのエンジンは排気量4.6 L、ラチェスター製ラムジェット方式の閉塞型燃料噴射装置の助けを借りて最大出力283馬力を叩きだすというハイパワーなものでした。
これに組み合わせる変速機は3速MTの他に2速パワーグライド式AT、更には限定的ながらCVTの技術を取り入れた3速ターボグライド式ATが搭載されていました。
また下位モデルである150、210と比べてもインテリアカーペット、ハードトップのクロムヘッドライナーバンド、フロントフェンダーのクロムスピア、ステンレス製ウィンドウモールディング、フルホイールカバーなど内外装でも上級モデルらしい多くの差が施されていました。
これ以外には1955年式にはオプションでダッシュボードの両側にコンセントがあるエアコンが搭載されます(1957年式ではエアコン搭載はATのみのオプションになる)。更に1956年式からはこれもオプションではありましたがクラッシュパッド入りダッシュボード、シートベルト、ショルダーハーネスと言った安全装備も搭載されています。また1957年式には50を超えるオプションアイテムがあり、その中でも変わった物を挙げると小さな物入れ容器、コンパスや櫛、吸引式灰皿や自動除氷ワイパーなどがありました。
そして今回のイラストである1957年式のベルエアはエルビス・プレスリーやマリリン・モンローと並んでその時代の象徴と多くの人に考えられており、史上最も有名なアメリカ車の1つと言われています。今日でも手入れの行き届いた個体が多く、特にスポーツクーペとコンバーチブルは、コレクターや愛好家に非常に人気があります。広々としていて、豪華ながらも趣味よく抑制がきいた尾びれとクロムとフィンが人気のようです。
2019-08-22 15:37:56 +0000