骨董好きの両親が俺たちに与えた、一体のララ。
旧式の、所謂人形らしい人形だった。
感情が備わっているのかわからず、表情も変わらず、歌う以外は何も言わない。
アンティーク、上品。そう言えば聞こえはいいが、
冷たい顔も、鋭い髪も、誂られた服も、色の無い声も、
どうしても好きになれなかった。
でも姉さんは違った。
引き込まれるように、
取り憑かれたように、
片時も離れずその人形を抱きしめて、
───あの歌こそが、俺の悪夢だった
✦‧✧‧✦ララ・ドールの子守歌【illust/71777311】✦‧✧‧✦
◆ヨシュア・リンタール
ララやそれに似た人形を毛嫌いしている少年。
一年前に姉を亡くし、両親とも上手くいかなくなったため家を出た。カフェを経営する叔父の元へ転がり込み、店員として働いている。
心配する叔父の声も聞かず日夜働き詰めの上、たまの休日にもろくに眠れていない。眠ろうとしない。好きだったはずのコーヒーの味もよく分からなくなってきた。
眠れば必ず悪夢を見てしまう。
人形が延々と歌い続ける夢を。
◆申請について
募集無しに変更致しました。
素敵な企画を立ち上げて頂いた主催様、ブックマーク、いいね、閲覧して頂いた方、外部等でありがたいお言葉をくださった方、皆様ありがとうございました。
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眠ることを拒み続けた少年
ある晩ことりと眠りにおちて
やがて忽然と姿を消した。
時を同じくして、次々と破壊されていく人形達。
残骸を辿った一人の男が見たものは、
夜空に消えた小さな魚。
悲鳴にも、泣き声にも聞こえたそれは
確かに「歌」だったと語られた。
2019-06-02 16:13:40 +0000