夜戦

夜の空を焦がす。

主装甲帯を貫かれ、既に消火は不能。
空中艦の最後というものは呆気なく、しかも残酷だ。
「二番艦より入電。『我ニ構ウナ貴艦ノ武運長久ヲ祈ル帝国ニ栄光ト祝福アレ帝国万歳』」
落ち行く戦友を背にして、別れの言葉も早々に彼らは征く。
どうせヴァルハラで会えるのだ。
仰々しい別れの言葉など必要ない。
誉ある帝国軍人の魂を、彼らの船出を、哀れみで汚してはならない。
「一番艦より返信。『貴艦ノ勇戦ニ感謝スル神ノ加護ガアランコトヲ』」
闇を切り裂く探照灯が艦隊を照らし出す。
閃光と轟音が装甲を食い破り、船体を夜の闇に引きずり込んだ。