ーあれから1年の刻が流れた。
あの大破壊の瞬間、私達は誘導した避難民達と共に、爆心地から遠く離れた洞窟内部にいた為、難を逃れる事が出来た。
ギルドメンバーに犠牲者が1人も出なかったのは不幸中の幸いと言うべきか。
孤児院【鳥の巣】の職員や子供達も、真っ先に避難させていたので無事だ。
しかし、状況は厳しいと言わざるを得ない。
現在、【柊元郷】では難民・孤児合わせて80人程保護している。
カメリアに魔力増強の魔道具を製作してもらい、永住可能人数を大幅に増やしてはいるが、それでも60人が限界だ。
そして、永住というのも飽くまでも私が生きている間の話だ。【柊元郷】は創造主である私の命が尽きると共に消滅する。
その前に、何としてもこの人数が暮らしていける設備の整った街を再建せねばならない。
そして、他の地域で生き残っている人々にも。
それが戦災難民保護ギルドである私達の義務だ。もちろん、私達だけでは無理なので、保護している難民の方々にも協力してもらっているが。
それにしても、だ。
『ラスト大陸滅亡』……一体何を言っているのだろうか?
確かに三国は滅びてしまったが、この大陸にはまだ多くの人々が生き残っている。
『人』が生きて暮らしてさえいればそこが『国』だ。
私達は、その道こそ険しいが、着実に未来へと歩を進めている。
それに、先日もまた一つ、崖下で爆風の直撃を免れ生き延びた森を見つけた。
先月には、業火に焼かれ死んだと思われていた樹木が黒焦げのまま芽吹いた。
植樹や開墾も少しずつだが上手くいっている。
何十年、何百年かかるか解らないが、いずれこの大陸に再び命が満ちる日が、必ずやってくる。
「奴」は人や生命が持つ底力を甘く見ている。
そう、我々はまだ、敗けてはいない。
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名前だけですがお借りしました
孤児院【鳥の巣】【illust/72938452】
うちの子ら
柊【illust/73325460】
カメリア【illust/73536907】
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EXイベントのアフターです。
柊は過労と心労で少しばかりやつれていますが、復興への意欲と情熱、「奴」(博愛主義の彼としては珍しく、名前を口にするのも汚らわしいほど憎悪してます)への怒りに燃えています。
その割に表情が穏やかなのは、「破壊者にとっては怒りや憎悪に歪んだ顔よりも、余裕のある微笑みが一番認めたくない表情だろう」と考えての事です。
……何か世紀末の何処かの村みたいだな……。
本当はEXイベントへはもう投稿しないつもりだったのですが、余りにも絶望的な結末に耐えられなくなったので、つい……。
まあ、公式でも「生き残りがいる」とか「歴史に刻まれた」(つまり記録を残せる程度には文明も存続している)と書いてあるので、これくらいは許されるんじゃないかと……ダメですかね?
何か矛盾や不都合な点がございましたら、パラレル設定スルーをお願いします。
あと、EXイベントでの交流は予定していませんので、出来れば妨害等のエンカウントはご遠慮願います。
(普通に合流したり、協力関係を結ぶ等であればOKです)
2019-04-18 10:53:43 +0000