◆pixivFantasiaLS EXイベント 最後の破壊をもたらす者【illust/73981806】アフター投稿です。
【illust/74186747】→【novel/11011568】→《ここ》
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枝が何かにつかえたような感覚を覚えて、『滅びの果て』のブライトベリーは眼前の一同から視線を少し反らした。
目の前には、虫の息のコウモリの小娘とそれを抱えるコウモリの少年。
あと一歩踏み込めば、火花が散ってもおかしくない距離だ。
少し顔を上げれば『凍れる道』の姿もある。
きつく縛り付けておいたので暫く抜け出すことも、こちらに手出しもできないだろう。
美しいかたちをしているが、細くて脆い。少し力を入れたら二つに折れてしまいそうだ。私の知らない「私」の末路をよく知っているようだから、ここで手折ってしまうわけにもいかないので、程よく弱らせておくに留める必要がある。
突然の乱入者もまた、警戒を怠るべきとは思わない方がよさそうだ。
ともあれ、この感覚は、ここで感知している事象ではない。
新緑の寺院──仇敵たるニグラスが座している外周に這うものたちを露払いするために飛ばしていた枝に、何かが引っかかっている──そんなところだろう。
意識を沈め、根を通じて地中を巡りその原因に達する。
最初に視角が感知したのは長剣で、その剣で端末たる枝先を次々をなぎ倒していく姿を捉える。 ヒトの形をしている。
──金髪碧眼の魔族の男
一度触れたもの感覚を狙いを定めた肉食獣のように私は忘れなかった。
興を削がれて一度手を引いた、あれの「外側」が形を作っているようだった。
ふたつで一つの形をつくるものが、剥離したというのは不思議なことだ。
では「内側」のあれはどこか───
枝先に意識を投げて範囲を広げていくと、大きな魔力の気配を隠せずにいるやわらかなるヒトの形、「内側」の気配を掴んだ。数日前処理が面倒になって同士討ちさせた刀傷があるので間違いない。
──私はこちらの用事を済ませたいからな。
──お前に任せよう、「外側」の処理を。
端末たる枝先は、私の人型をつくり、目標に向けて走り出した。
力が分散するが、眼前の二匹と『凍れる道』相手にこれ以上手間はかかるまい。
それに「外側」はすぐに倒れるだろう。
「内側」を毒の傀儡にして同士討ちさせれば造作もないこと。
ヒトという下等な生き物は、見た目に惑わされやすい生き物だ。薄皮を剥がせばどれもこれも同じ色をしているというのに。
残った内側は、随分と大量の魔力の蓄えを持って居るようだから後で喰い潰せばいい。
毒に犯された器は、喜んで膝を折り抵抗せずに潰れてくれることだろう。
目の前のコウモリの小娘のように、毒が効かない相手ほど面倒なことはない。
時間がたっぷりと在るわけでもないのに命乞いが楽しくて、随分と時間をかけてしまったのは私の悪い癖だ。
「──待たせたな、少しだけ邪魔が入った。で? それは死んだか? あぁ…『凍れる道』、それは死んでいても構わないだろうか?」
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鬼畜じじぃ【illust/74109093】
テラーさん・クライヴさん【novel/10693374】
テラーさんのお召し物はFAの非公式です。
2019-04-15 09:14:39 +0000