まくら③(浅草ジョイジョイカムカムホールにて)

玉本秋人

昨日の上野講釈亭では紅しょうが姉さんと、とこぶし姉さんの3人で「天晴れ日本娘」の俥読み(くるまよみ)をやりまして。
俥読みというのは長編物を変わりばんこに読む講釈のリレーでございます。リレー講釈とか言う方もいれば、リレー読み、俥、交代読み、えー、他に何かありましたら芸談協会の事務所にでもお電話ください。時々時間を持て余した、夕月葵さんという方がお出になります。
私事ですが、先日高校の野球部の練習試合に出ました。手前味噌ですが1人で3打点を挙げ、チームに貢献する事が出来ました。先制点、追加点、そして勝ち越し点と、全てゲッツーで記録するという珍しい日でございました。
試合後によくチームみんなと喫茶店に行くのですが、こうして喋る仕事をしていても最近の女子高生とやらが食いつく話題がよくわかりませんね。一応女子高生の端くれなんですが、いつも何を話そうか考えてしまいます。服も着物の話はできますが、流行のファッションの話ですとか、野球の話もロッカールームで反省会はしたんだからもういいよ、などと言われますし、結局は夕月さんとばかり話をしてしまいます。
このままではイカンなあと思っていたら、漫画の話が始まりまして、漫画だったら時々買って読むぞと勢い勇んで、この前読んだ手塚治虫先生の「ブッダ」の話を持ちかけたんですね。あそこまで皆黙るとは思いませんでしたね。
面白いんですよ、ブッダ。カピラヴァストゥの王子シッダルタ、のちのブッダが己の運命を悟り、僧の道を行く事を決意する話ですが、仲間と旅を乗り越え、苦行を重ねるにつれてやがてその苦行というものに疑問を持ち、人びとへの真の救済とは何かを探求していく所ですとか、襟を正しつつも夢中で読んでおりましたので、てっきりみんなも身を乗り出して聞いてくれて、なんだったらコミックス全巻9人で俥読みするくらいの気持ちでいたんですが、全く話に乗ってくれませんでしたね。
しまった、失敗(しくじ)った。と思ったら、瀬能久知子(せのう くちこ)さんという方が「アタシ読んだことあるよー!」って言って、助かったと思いました。
「何かタッタタッタ言ってる漫画でしょ!?タッタとかナラダッタとか、ダイバダッタとかタッタタッタタッタ!あはははは!ねえねえ、最後読んでないんだけどさあ、どうなった!?ブッダ、タッタにタタッ斬られたあ!?なーんつって!」
引っ叩いてやろうかと思いましたね。

#舞波千景#講釈#講談#ブッダ

2019-03-27 16:35:49 +0000