これといったトラブルもなく上層階級のドームに辿り着いたチトセは真ん中に見える巨大なホエルオーに唖然とする。真っ白で騒がしい生き物にとても身に覚えがある。まさか、と思って改めて探索に入ろうとした時にそのまさかの可能性を身を以て体験することになった。
「ん?デデンネ?」
紫色の球が投げつけられ、反射的に刀で両断すると、まばゆい光に包まれる。
そのまま、服だけを残してチトセの姿は消えた。
「……うわっ、なんだこれ、暗い……マジで何があったんだよ……」
残された衣装の下からもぞもぞと何かが這い出てくる。ゴーグルがひとりでに動き、言葉を発してる。
「何かに閉じ込められてるのかな?んっ、なんとか持ち上がるな……」
ゴーグルの下から這い出てきたのは黄色の毛玉。
「……???」
振り返りゴーグルを改めて見つめ、チトセの服に触れる。
「な、なにこれ、いやいや、えっ?」
黄色い毛玉、もといチトセは過去にないほどに混乱している。なにせ、刀も持てない姿になったのだから。
「……あの球か……となるとあの白いの、やっぱりシロノワ?近づいたら死ぬなこれ……。戻るよな?刀持てないと傭兵廃業だぞ……食い扶持稼げないぞ……というか荷物盗まれること考えると迂闊に動けない……動かなくても盗まれてまともに抵抗できないじゃねぇか!」
パニックになりながら思考をまとめながら、ぐるぐる頭の中でいろいろなことがごちゃ混ぜになる。
そしてチトセが至った結論は
「……とりあえず親切な人に拾ってもらうのを祈るか、ここに服だけ落ちてたら目立つだろうし……。ゴーグルの上で待ってよう……なんか疲れた……」
完全に人の親切に頼る。なにせ電撃の使い方がわからないバチュルなんてただの動く毛玉だ。どうしようもない。幸いここは上層部の出入り口近く。ボウケン者もきっとここを通るだろう。
こちらの展開(illust/73863528)に触れつつ
辛酸テロリズム(illust/73863383)に巻き込まれて最小ポケモンになった模様。
お借りしました。
シロノワきゅん(illust/72236948)
毛玉になった(illust/73748842)
2019-03-25 01:05:09 +0000