(2019/3/19キャプション追記しました)
炎の壁を越えたノーザリアの戦士たちを待ち構えていたものは、炎よりもさらに苛烈な鋼だった。
◆『救鼠(きゅうそ)のよろいネクォーカム』
炎神の神殿に奉納されていたとても古いはがねずみのよろい。長らく機能停止していたが、島の危機に反応するかのように突如起動した。
かつて島を襲った大怪猫ワガハイを退治し、多くの民を救ったという逸話をもつ。
◆身長2mくらい
全身に無数の武器を搭載しているが、現在使えるものは右腕の蛇腹剣のみ
◆テイル島の戦いでファイアランドが敗北した場合、ノーザリアに鹵獲される
→ファイアランドが敗北したためノーザリアに鹵獲されました
◆赤シャツのヘルチュ
「逃げたい。超逃げたい」
炎神の神殿に住み着いているはがねずみの若者。偶然からネクォーカムを操縦することになる。
◆テイル島の戦いでファイアランドが敗北した場合、死亡する
→ファイアランドが敗北したため死亡しました
◆以下、『よい子のためのファイアランド説話集・はがねずみ口伝の巻』より抜粋
◆「女神さま、これはよろいではありません。ばけものです。」
「猫の頭にフクロウのまなこ、鷲のくちばし」
「腕からは蛇まではえてくる」
「こんな恐ろしいものに乗るのはごめんです」
「おそろしや!おそろしや!」
はがねずみたちは口々に訴えます。
「女神さまのおっしゃったとおり、7つの試練を乗り越えて7つの宝を集めてまいりました。」
「それなのにあなたがくださったのは強いよろいではなく、みるも恐ろしいばけものだ。」
「これでは故郷でまつ仲間たちに顔向けできません。」
「うらぎられた!うらぎられた!」
くやしさとおそろしさのあまり、泣き出す者まで出てくる始末。
そんな彼らをみて、ヒトの姿をした女神さまは、流ちょうなねずみ語で、こともなげに言いました。
「背中には白いイタチもついていますよ」
一匹目のはがねずみが気絶してしまいました。
「足の裏にはねずみ取りが仕込んであって」
二匹目、三匹目のはがねずみが卒倒。
「手のひらからはネコイラズが噴き出るのです。」
ばたんばたんと倒れていき、残るはがねずみはただの一匹となりました。
最後の一匹、われらが勇敢なネクォーカムは震えながら、しかし静かに尋ねます。
これはどういったつもりなのか、納得のいく答えをお聞かせ願いたい、と。
「あなた方が、このよろいの恐ろしさを忘れないように」
いままで女神様が浮かべていた笑みが消え、おそろしく冷たいまなざしが彼を射抜きます。
「怪物にあらがうために、怪物に負けないからだを手に入れようとしたあなた方が、こころまで怪物になってしまわないように」
怪物になんかなりません、とネクォーカムは応えます。
「ゆめゆめ油断なさらぬように、こころはどうしてもうつろうものですから。たとえそれが、機械仕掛けのこころでも」
どこか悲しそうにつぶやいた女神様でしたが、次の瞬間にはおだやかな顔に戻りました。
「私の言いたかったことはそれだけです。とっととよろいを持ってかえりなさい。そこで伸びてるお仲間も忘れずに」
しっし、とじゃまな虫を追い払うように手を振りながら背中を向け、どこかへ去っていく女神様。
その背中にネクォーカムは最後の言葉を投げかけます。
「ありがとうございました。女神ソオ・ママキナさま」
そう、勇敢なネクォーカムはお礼を言うのを忘れない、礼儀正しいネクォーカムでもあったのです。
このお話はここでおしまいです。
このあとのこと…島をおそった化け猫ワガハイとネクォーカムのお話は、明日の晩ごはんの後にしましょうね。
◆
2019-03-15 19:29:21 +0000