【PFLS】終わりから始まる物語【ホースヒルの戦い】※キャプ更新

枝の上の缶詰
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忘れる事は無い。許してやれなんて言わない。
全てを持って、未来へ歩む。


……とある魔族と、その王を討った人間の話。

ーーーーー
逃げてきた。安寧の地を求めて。
先の大戦で敗北を期した魔族は散り散りとなった。ある者は道中残党狩りに会い、ある者は復讐を求め賞金首になり、またある者は静かに身を潜めた。

追われる先にたどり着いたのは、エルダーグラン。 ここは何らかの理由で国を出た者や、異国から流れてきた者、行き場のない者達が集う地で、多様な種の受け皿。統治されていない代わりに、一方的に淘汰されることは無い。

王を失った絶望、続く仲間の訃報、人間の目……傷は癒え始めていても、不安と憤りにジリジリと焼かれる胸を押さえながら行く宛もなく森を歩いていた。

…ふと、尾に何かが触れる感覚があった。
目をやるとそこにはヒトの子供が尾を掴んではしゃいでいるではないか。

ヒトだ、ニンゲンだ。恨めしい、憎い。よくもガリオン様を──

振り上げた腕を意に介さず、子供はカルィの尾を物珍しげに眺め、無邪気に笑っている。これから殺されるかもしれないというのに、何も知らないような顔をして……と思ったその時、ハッとした。
そう、何も知らないのだ。何も知らない。魔族とヒトの因縁や、先の大戦の事も、見ず知らずのカルィから敵意を向けられる理由も。何も知らない。ただの子供なのだから。

(……そういえば、いつから拳を振るう理由が憎悪になっただろうか)

前王ガリオンはヒトを支配下に置くために、覇道を貫いた結果、戦いに敗れた。
戦いにはいつも勝者と敗者がいるのは至極当然で、自分達は後者であっただけ。

王を失った悲しさと、迫害される苦しさと、仲間が殺されていく辛さと、魔族である誉れが地に落ちた悔しさと…… 様々な感情が入り乱れた結果、関係のない子供にまで手をかけそうになるほど歪んでしまったのだ。

「……戦争は終わったのに、俺は何をしてンだ。」

固く握りしめていた拳を緩め、力加減に気をつけながら優しく子供の頭を撫でる。こんな子供に気付かされた。復讐なんて見当違いも甚だしい。逆恨みじゃあないか。

自分がもし、無関係のこの子供を殺していたら……周りのヒトは"魔族"を憎むだろう。そうしてまた、繰り返される。復讐が復讐を呼ぶのだ。果てには何故争っているのかさえ、分からずに…。

***
──新たな大戦が始まろうとしていた。ノーザリア帝国が南下を始めたのだ。

エルダーグランに住まう多くの者達はギデオン、エリオン、ミラセラ率いる同盟軍と盟約を結び、来たる戦の為に爪を研いでいた。魔族を統べるエレバスも例外なく、「魔族の復権」を条件として加盟した。魔族は、再び立ち上がらんとしていた──

……ここは魔族の集まる酒屋。飛び交うのは雑談の他、有害モンスターの討伐依頼、敵国の情報、新たな魔王への希望、そして……"英雄イーサン"への憤り。

『魔王様の命により仕方なく共闘するだけで、怨敵と背中を合わせて戦うなど、断じて許容できない事だ。』

多くの魔族は同じ意見だろう。かつての自分と同じ様に、"ヒト"自体を憎んでいる者の、何と多い事か。

だが、彼はもうファイアランド英雄ではない。
追放され、エルダーグランに逃げ延びてきた。そして、この地で戦う決断をした。そして、エレバス様は共に戦うと仰った。

──転機だ。
魔族は変わらねばならない。
変えられない過去に囚われて、憂さを晴らして何を得る。国を追われた英雄に、もし一矢報いたとして、はたしてその先は?
魔王エレバスは"誇り高き魔族として"ではなく"エルダーグランの戦士として"戦うと誓った。彼もだ。それならば、すべき事は変わらない。

「俺は、嵐の傭兵団に入る」

魔族である自分が肩を並べる事で、仇ではなく共に戦う仲間であると、敵は誰か、何の為に戦っていたのか、戦うのか問うてみせる。

死ぬものか、奪わせるものか、繰り返させるものか。
今一度、エルダーグランの民は団結する。種を超えて。新たな歴史を作る為に。

ーーーーーー
要約すると、
「イーサン同じ志の仲間やん、ガリオン倒したのだって戦争だったからやん。めっちゃ悲しかったけどな。悔しがるのは分かるけど恨むのは筋違いやで。」
「魔族と人間のしがらみなんてこの戦争には関係あらへんやろ!!!それはそれ、これはこれや!!!!」
「言葉で伝えるの手間やから行動で分からせたるで(嵐の傭兵団入団)」

って感じ。フィーリングでOK。

時間軸としては、ボールランの戦いが終わって、エレバス魔王達とイーサン達が合流する前。幕間ですがホースヒルへのログイン漫画としてタグをつけさせていただきます!

セコム  …ラスト大で広く使われている慣用句であり、守備・備え・見張り役といった意味を持っているが、最近では過保護・保護者というという意味で“○○のセコム”といった使われ方をすることがしばしば見受けられる。
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企画元様
pixivファンタジア Last Sagaillust/72934234
第二章「戦乱の奔流」illust/73279466

◆お借りしました!
公式より
・追放された英雄イーサン
【嵐の傭兵団】 タグ提案illust/73010482
・エルダーグランの魔王エレバス

優秀なる英雄のセコム、バルバラさん【illust/73146595
少しだけですが、
いつかミルク直飲み友になりたいですね、ミルク飼いのウェニクさん【illust/73226346】滅茶強BABY、騎士崩れさん【illust/73007541

◆魔族のカルィ 【illust/73137481
所属:エルダーグラン同盟【嵐の傭兵団】【霆盾

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2019-03-03 10:13:33 +0000