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何故、交換価値は成立しなかったのか。

人類の歴史は、物と物との交換によっても記述される。それぞれが異なる物を示しあって、両者が合意すれば、それぞれの物は持主を変える。つまり交換が成立する。ハノイで両者が持ち出した物を並べてみることにしよう。まず米国からの物は、寧辺とその他の核処理施設の廃棄である。一方北朝鮮からは、制裁の解除である。その内容は文字その他で示されたので、その具体的内容の把握と、それぞれの使用価値の吟味と、交換価値の比較と云うことになる。「ディール」という大きな取引としてそれらがテーブルの上に散らばったが、同等の価値になっていないとして、この取引はひとまず不成立となった。北朝鮮からは寧辺はともかく、その他の施設は入らないとその物を限定した。米国はそれがなければ、制裁解除はできないとして、テーブルから立ち上がった。改めて取引交渉はするが、御破算にしようという合意には達した。廃棄も制裁解除も確たるものがなく、仮に交換が成立したとしても、実際の物の廃棄と解除が実現するのかどうかも危ういものであった。資本家同士の取引は、世界の人々の使用価値(ここでは使用しないと云う価値)を実現するものではなく、資本の利益が観念的に計算されただけである。核施設にはそれなりの労働時間が集積している。一方の制裁解除は、解除しない場合と解除する場合で、その資本の利益にどの程度影響を与えるかが問題となる。米軍、韓国軍、自衛隊の軍需がどの程度減り、それが他に転用できたとしたら、一体どの程度の利益が生じるかが算定される。韓国駐留米軍は約3万人、韓国思いやり予算は約5000億ドル、日本駐留米軍は約4万人、思いやりは約8000億ドル。米軍の軍需約5000億ドル、実際には軍人以外の家族等々が駐留し、食費やら物品等々のその他軍需も含めると、1兆ドル、特に韓国軍の縮小も関連するとなれば、失う軍需利益も年5000億ドルに達する。果たしてそのマイナス分と核施設約200億ドルの廃棄分が見合うかどうかがその交換価値の実現の解答である。将来の経済効果を北朝鮮がどう見るかと云えば、制裁解除による年商売は50億ドル程度で、安い労働力をして、世界に安い商品を供給するには、その投資額は少なくはない。中国やアジアの資本との競争は並大抵ではない。資本らにとっては、出来もしない取引なのだ。

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2019-03-02 12:38:54 +0000