「ヴァト………お兄ちゃん………」
「……ん?」
「私……今よりも、もっともっと強くなる……。だけど、今は、今まで出来なかったお父さんとお母さんへの親孝行をして、それから、レジスタンスで力を付けて……そしたら…」
千景は俯き、顔を赤らめながらゆっくりと言葉を選ぶ。怪訝な様子でヴァトやメロニー達は彼女の言葉の続きを待った。そして、
「今よりも、もっともっと強くなって、貴方が安心して背中を預けられるようになったら、私を、貴方の隣に居させてくれませんか?」
「ぶっ!?ちょ、あんた……それ…」
「あぁ、いいよ」
「ちょっ!?ヴァトお兄ちゃん!?」
「わっはっはっ!こりゃ参った!ヴァト殿が婿殿になるなら、我々は大歓迎だな!なぁ、お前!」
「えぇ。これから千景には、しっかりと珠洲宮家流の嫁入り修行をしないとですね」
顔面を真っ赤に染めながら、決意の眼で口を開いた千景。隣でメロニーがその言葉の意味を理解して吹き出すと、ヴァトはその"意味を深く理解せず"に頷いた。
<ECO外伝 黎明を往く少女 其の十六より>
2019-02-11 13:06:07 +0000